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2024/5/1

【Printing】キヤノン、国宝「唐獅子図屏風」の高精細複製品を文化財活用センターと共同で制作。東京国立博物館にて6月30日まで一般公開

 国立文化財機構 文化財活用センターとキヤノンは、「文化財の高精細複製品の制作と活用に関する共同研究プロジェクト」のもと、皇居三の丸尚蔵館が収蔵する国宝「唐獅子図屏風」の高精細複製品を制作した。完成した作品は、東京国立博物館の体験型展示スペース「日本美術のとびら」にて、2024年6月30日※1まで一般公開※2中。

「唐獅子図屏風」(右隻:国宝 狩野永徳筆 左隻:国宝附 狩野常信筆)の高精細複製品

 文化財活用センターとキヤノンは、より多くの人に文化財に親しむ機会と、より深い文化体験を提供することを目的に、2018年10月より共同研究に取り組んでいる。これまでに15作品の高精細複製品を制作し、ガラスケース無しで作品を間近で細部まで鑑賞できる展示や、教育機関向けのアウトリーチプログラム、映像と組み合わせた体験型展示など、オリジナルの文化財では実現させることができない鑑賞体験を提供してきた。
 今回、複製品を制作した国宝「唐獅子図屏風」は、高さ2m20cmを超える非常に大きな屏風で、右隻は、織田信長や豊臣秀吉らに仕えた桃山画壇の巨匠・狩野永徳の代表作。岩間を闊歩する二頭の堂々たる獅子の姿が力強い筆法で描かれている。左隻は、永徳のひ孫にあたり、江戸時代前期に徳川家に仕えた絵師・狩野常信が、右隻にあわせて制作したもの。現在は、右隻と左隻を合わせた一双屏風として伝えられている。
 複製品の制作にあたっては、特定非営利活動法人 京都文化協会とキヤノンが進める「綴プロジェクト」の技術を活用している。キヤノンの入力、画像処理、出力に至るイメージング技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、作品の大きさだけではなく、絵師の筆遣い、岩絵具の鮮やかな色、金箔や金具に至るまで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。
 完成した高精細複製品は、東京国立博物館 本館特別3室の体験型展示スペース「日本美術のとびら」にて、2024年6月30日まで一般公開されているガ。ラスケースに遮られずに間近で鑑賞いただくことで、作品の迫力、力強い筆遣い、唐獅子の勇壮さなどを存分に体感することができる。
 なお、今回の制作工程を詳しく紹介する動画を公開中。
※1 展示期間は予告なく変更される場合がある。
※2 入館料が必要。詳細は東京国立博物館公式ホームページを参照。
■「日本美術のとびら」について
 「日本美術のとびら」は、高精細複製品やデジタル技術を使って日本美術と遊ぶ体験型展示スペース。「とびら」のむこうに広がる展示室で、もっと文化財が身近になるように「みる〈日本文化紹介映像〉」「たのしむ〈日本美術のデジタル年表〉」「かんじる〈高精細複製品〉」「さわる〈8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗〉」の4つのコーナーを設けている。どのコーナーでも、見て、体験することで、人から人へ受け継がれてきた文化財のすばらしさを体感できる。なお、「かんじる〈高精細複製品〉」コーナーでは、綴プロジェクトの技術を用いて制作した屏風や掛軸の高精細複製品を季節にあわせて展示している。
■「綴プロジェクト」について
 「綴プロジェクト」は、京都文化協会とキヤノンが2007年より共同で推進している文化支援活動。日本古来の貴重な文化財には、歴史の中で海外に渡った作品や国宝として大切に保管されている作品など、鑑賞の機会が限られているものが多くある。「綴プロジェクト」では、キヤノンの入力、画像処理、出力に至るイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、オリジナルの文化財を忠実に再現した高精細複製品を制作している。制作した高精細複製品は、文化財にゆかりのある社寺や自治体、博物館などへ寄贈し、寄贈先での一般公開や学校教育の現場など、さまざまな場面で活用されている。これまでに、葛飾北斎や俵屋宗達、尾形光琳の作品など、全60作品の高精細複製品を制作。

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