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2025/4/7

【添加剤】ハリマ化成グループ、「バイオマス系アスファルト再生用添加剤」を開発

 ハリマ化成グループは、土木研究所および日本大学との共同研究により、「バイオマス系アスファルト再生用添加剤」を開発した。この添加剤は、植物由来原料を使用しているため、環境負荷を大幅に低減できるとともに、少量でも劣化アスファルトを再生し、耐劣化性に優れるため、道路インフラの持続可能性を高める。

 近年では、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、非石油由来の原料を活用した各種添加剤やアスファルト代替材料の研究・開発が進められている。国土交通省は、道路のライフサイクル全体の低炭素化を推進しており、2030年までに道路分野でのCO2排出量を35%以上削減する(2013年度比)目標を掲げているなか、道路インフラの長寿命化、道路建設・管理の低炭素化が不可欠。再生アスファルトにおいては、耐劣化性の向上による修繕頻度の減少やメンテナンスの最適化に加え、低炭素型材料への転換などが求められている。

 日本におけるアスファルト混合物の出荷量の70~80%が再生アスファルト混合物。アスファルト再生用添加剤は、気候条件や交通量などにより劣化して硬くなったアスファルトを回復させ、再利用可能な状態に戻す。しかし、従来品では、繰り返し再生されたアスファルトが回復しづらいことが課題となっている。

 今回新たに開発した製品は、再生可能天然資源である「松」から得られるロジンをはじめとした原料を使用しているため、環境にやさしく、サプライチェーン全体の低炭素化に貢献する。性能面では、従来品の標準的性能を満たし、少ない添加量でも同等以上の再生効果を示している。また、アスファルトの劣化を抑制する効果が期待できるため繰り返しの再生にも有効で、従来品では回復が不十分な柔軟性を高めることで、道路の長寿命化や持続可能なインフラを実現する。

 今後は開発品を使用した混合物評価や試験施工のデータ蓄積を重ね、社会実装を目指す。

■開発品の特徴
①環境にやさしい設計
・バイオマス比率約98%以上と高く、環境にやさしい設計
・石油系添加剤の標準性状を満足し、完全に代替可能
・アスファルトの年間1m2当たりのライフサイクルCO2を約3%削減

②資源の有効活用
・従来品よりアスファルトへの添加量を約30%削減

③高性能
・従来品と比べて、再生アスファルトの劣化を約30%抑制
・新規アスファルトと同等の性能に回復
・繰り返し再生性能が高く、舗装の長寿命化に貢献

 近年、世界的にSDGsへの意識が高まり、環境を配慮した製品が求められているなか、植物由来の素材を用いた化学製品の需要が増加している。同社は、バイオマス素材を活かした製品の開発を加速させ、サステナブルな製品の事業拡大を通じてSDGsなど社会的課題解決に取り組んでいく。

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