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2025/11/1
【炭素繊維】東レ、力学特性・表面品位を維持可能なリサイクル新技術創出。炭素繊維不織布などから用途展開推進
東レは、このたび、熱硬化性樹脂からなる多様な炭素繊維複合材料(CFRP)を分解し、炭素繊維の強度や表面品位を維持可能なリサイクル新技術、および同技術にて得られるリサイクル炭素繊維(rCF)を用いた新たな炭素繊維不織布を創出した。自動車、建築、電気電子、日用品など幅広い用途での機能材や意匠材としての展開を見据えて、顧客への試作サンプルの提供を開始している。今後、用途に合わせて、さらなる技術検討を進めていく。
CFRPは、航空機や風車などの用途で使用されており、廃棄CFRPから取り出したrCFの用途として鉄鋼炉の還元剤としてのケミカルリサイクルが進んでいる。また、廃棄CFRPを高温で熱分解してrCFを回収・再利用するマテリアルリサイクルの技術開発も進んでおり、射出成形用途を中心に市場が拡大している。他方、さらなる用途拡大においては、rCFの熱損傷抑制および樹脂残渣制御ができ、あらゆる廃棄CFRPに適用できる技術が必要と考えられている。
東レは、これまで蓄積してきた有機合成・ポリマー重合の知見を活用し、三次元架橋された難分解な熱硬化性樹脂に対し、従来技術より低温で分解可このな新規分解剤を見出した。この新規分解剤により、航空機、風車、自動車などさまざまなCFRP廃材の分解を実現した。同技術により得られたrCFの単糸引張強度は、石油由来のバージン炭素繊維に対し95%以上の強度保持率を発現する。また、同技術にかかるCO2排出量は、バージン炭素繊維の製造時と比較し、50%以上の削減が期待できる。

この技術で得たrCFは、従来rCF対比強度が高く、後加工プロセスでの繊維折損が少ない特徴がある。さらに、樹脂残渣が少なく表面品位に優れることから、より幅広い用途への加工が可能。なかでも、短繊維を分散させてシート状に加工する不織布への検討を進めた結果、同技術で得たrCFは、水への分散性が容易に制御でき、均質形態の不織布や、従来にない和紙の風合いを有する不織布の作成に成功した。
この和紙調炭素繊維不織布は炭素繊維の機能性(電波遮蔽や熱伝導性など)と和紙の意匠性を兼ね備えた新素材として、幅広い分野への展開を目指していく。
また、今回開発した和紙調炭素繊維不織布は、2025年11月9日まで東京ビッグサイトで開催されているJapan Mobility Showに出展中のマツダのビジョンモデルの内装や外装部品に搭載されている。
なお、本技術および炭素繊維不織布の加工技術は、環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業(令和6年度、7年度)」により得られたものである。

東レは「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の中で「資源が持続可能な形で管理される世界」を、2050年に目指す世界の1つとしている。今後も、持続可能な循環型社会を実現するために研究・技術開発を推進し、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく。
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