アーカイブ情報
2025/6/10
【紙製結束サーマルバンド】大阪シーリング印刷、「結束可能なダイレクトサーマル紙」の開発に成功
OSPグループの中核企業で、シール・ラベル、フィルム製品、紙器パッケージ、販促ツールまでをワンストップで製造する大阪シーリング印刷は、紙製の環境配慮型製品 「結束可能なダイレクトサーマル紙」の開発に成功した(特許出願中)。

従来の結束バンドは、「表面にシリコン層、裏面に粘着剤を塗布したタイプ」や「表面にシリコン層がなく、裏面にプラスチックフィルムをラミネートしたタイプ」が主流であった。同製品の表面はダイレクトサーマル印字が可能なサーマル層で、裏面にヒートシール層をコーティングしているため、プラスチックフィルム不使用でありながら熱圧着が可能。また、プラスチックを使用しないだけでなく、FSC®森林認証紙を使用することで、環境に配慮した製品となっている。
■開発経緯
昨今、環境負荷を低減するために「脱プラスチックフィルム」の動きが広がっており、包装資材のプラスチックフィルムを紙製品に置き換えることを多くのユーザーが検討されている。結束資材においても、環境配慮の選択肢として、強度の高いプラスチックフィルムから紙製品への移行が増えている。こうした市場のニーズに応えるため、熱転写リボンレス印字とプラスチックフィルム不使用でも結束ができる製品の開発に着手した。OSPグループでは、結束資材だけでなく、他の包装資材においても環境負荷を軽減した製品の開発に注力している。
■課題を解決した高度な技術力
同製品の大きな特長は、ダイレクトサーマル印字と熱圧着を同時に実現できること。これは、表面のサーマル層がサーマルヘッドの熱エネルギーに対して優れた耐熱性を備えつつ、裏面のヒートシール層は比較的低温でも溶解するという、2つの相反する特性を備えることにより可能となった。さらに、同製品は印字時にサーマルヘッドを損傷せず、安定した印字品質を維持する。また、ロール状での通常保管時に発生しやすい表面と裏面の固着(ブロッキング現象)を回避できる点も特長である。テープ状の結束資材では、粘着剤が結束する商品に付着してしまう問題があったが、同製品ではこの問題も解決している。
■コスト削減と廃棄物削減のメリット
インクリボンを使用する熱転写方式では、リボンのコストと使用後のフィルム製リボンの廃棄が課題となるが、ダイレクトサーマル印字ではリボンが不要なため、コストと廃棄物を大幅に削減できる。また、インクリボンの交換作業が不要になることで、作業効率も向上する。
■ロール状の製品化を実現
紙の裏面にプラスチックフィルムをラミネートすると、温度や湿度の影響で反り返る「カール現象」が発生し、包装機でのスムーズな処理が難しくなることがある。しかし、同製品はこの課題を克服し、ロール状の製品化を実現した。これにより包装プロセスがより効率的になる。
■接着性・開封性・切断性を兼ね備えた製品
同製品は、上下方向に引っ張っても緩まない強固な接着性を実現しており、運送時や店頭での商品陳列時にしっかりと結束できる。開封時には、重なっている1枚を接着時と反対方向に引っ張ることで容易に剥がすことができ、開梱が非常に簡単である。プラスチックフィルムは手で簡単にちぎることができないが、同製品は紙製のため、任意の箇所からちぎることができる。さまざまな用途に応じた使いやすさも大きなメリットとなっている。


製品概要
製品名:結束可能なダイレクトサーマル紙(仮称)
基材 :FSC®森林認証紙使用、サーマル材料にはBPA、
BPS顕色剤不使用
- カテゴリー
- コンバーティングプロダクツ&テクノロジー