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2025/11/4

【負熱膨張材料】日本材料技研、BNFOの高耐熱グレードを拡充し量産化に成功

 日本材料技研は、負熱膨張材料BNFOについて年産1トン以上の量産化に成功するとともに、高耐熱グレードBNFO-HTを新たに開発した。これにより、高温プロセスを伴う幅広い産業用途への適用が可能となる。

 BNFO(BiNi1-xFexO3:ビスマス・ニッケル・鉄酸化物)は、一般的な材料が温度上昇によって膨張するのに対して、相転移温度域において大きな負熱膨張を示す(温度が上昇すると収縮する)画期的な材料である。電子部品をはじめとする産業分野では、発熱に伴う熱膨張が製品信頼性の課題となっているが、従来は膨張を制御できる材料の選択肢がほとんどなかった。BNFOはこうした課題解決に寄与する新規材料として、精密樹脂成型部品、導電性ペースト、接着剤など多様な用途が期待されている。

 同社は、スケールアップの結果、BNFOの年産1トン以上の生産体制を確立した。さらに、従来品を超える耐熱性を有し、400℃以上の環境にも耐えうる高耐熱グレードとして、BNFO-HT24(負熱膨張温度域:0~60℃程度)およびBNFO-HT40(負熱膨張温度域:150~180℃程度)を開発した。これにより、エンジニアリングプラスチックや熱可塑性樹脂における高温溶融混錬プロセスにもBNFOの適用が可能となる。

 同材料は東京科学大学・東正樹教授らの発明に基づくもので、同社は東京科学大学および神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)と共同研究契約を締結し、工業的製造プロセスの開発に取り組んできた。さらに、令和4年度より経済産業省「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」に採択され、スケールアップやラインナップ拡充、用途開発を進めてきました。今回の件はその成果の一部。

 同社は今後も、量産技術のさらなる確立や顧客ニーズに応じた新規グレードの開発、用途開拓を通じて、負熱膨張材料の産業応用を拡大していく考えだ。

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