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2024/9/12
【アルミニウムのアップグレードリサイクル】NEDO、UACJ・東京工業大学と「縦型高速双ロール鋳造機」を開発
NEDOは「資源循環型社会構築に向けたアルミニウム資源のアップグレードリサイクル技術開発プロジェクト」に取り組んでおり、UACJ、東京工業大学とともに、急速凝固プロセスを可能にした「縦型高速双ロール鋳造機」を開発した。
既存の技術では、主要なアルミニウム製品である展伸材の原料にリサイクル材を用いることは困難であった。今回開発した同鋳造機は、アルミ溶湯から直接薄板を高速で鋳造するもので、急速な凝固プロセスの構築により、リサイクル材の使用を阻んでいた課題を解決し、アルミニウムリサイクル品の展伸材製造を実現。同事業で研究・開発を行っているUACJのR&Dセンター内に同鋳造機を設置し、2024年10月から稼働を開始する。アルミニウムの量産化を目指した鋳造技術としては、世界で初めての取り組みとなる。
今後は、同鋳造機の活用により、高品質なアルミリサイクル材の量産化を実現させるとともに、2030年以降には高品質なアルミニウムリサイクル材の量産化と、大幅なCO2排出量削減を目指す。
■背景
近年、さまざまな経済活動において「循環経済」への転換が求められている中、輸送機器の軽量化など、CO2排出量削減を目的として需要の大きな伸びが予測されるアルミニウムは、資源循環の向上が特に期待される素材の1つ。一方で、新地金製造時の大きなCO2排出原単位が課題となっており、少ないエネルギー消費で済む再生地金は、低環境負荷アルミニウム素材として製造技術確立と利活用が期待されている。
このような背景のもと、同社は2021年度から「アルミニウム素材高度資源循環システム構築事業」に取り組んでいる。その一環として同社はUACJ、東京工業大学と共同で同事業※1を進めている。
■今回の成果
既存の技術では、アルミ溶湯に鉄やシリコンなどの不純物が混入すると、粗大な晶出物※2が生じ、材料の特性が低下してしまうことが懸念され、アルミニウムの展伸材※3の原料にリサイクル材を用いることは困難であった。
今回開発した同鋳造機は、アルミ溶湯※4から直接薄板を高速で鋳造が可能。従来の横型双ロール鋳造機と比べ、溶湯とロールの接触面が長いことや、銅製ロールの採用で高い熱伝導性の効果があり、アルミ溶湯の冷却速度と鋳造速度は数十倍に向上した。これにより、急速な凝固プロセスが構築され、アルミ合金の溶湯に混入した不純物による晶出物の微細化や分散化が可能になり、アルミリサイクル品の展伸材製造が実現する。そこで、同鋳造機を同事業で研究・開発を行っているUACJのR&Dセンター内に設置し、2024年10月から稼働を開始する。アルミニウムの量産化を目指した鋳造技術としては、世界で初めて※5の取り組みとなる。
※1 事業名:資源循環型社会構築に向けたアルミニウム資源のアップグレードリサイクル技術開発プロジェクト
事業期間:2021年度~2025年度
事業概要:アルミニウム素材高度資源循環システム構築事業 https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100195.html
※2 晶出物 母相のアルミニウムとは異なる化合物(金属間化合物)
※3 展伸材 板材・押出材・鋳造材・鍛造材・箔材などの形状のもので、缶や自動車、空調、IT機器、航空宇宙分野などで使用されるアルミ材
※4 溶湯 アルミニウムを溶解し、液体状にしたもの
※5 世界で初めて UACJ調べ
■今後の予定
同事業では、サーキュラーエコノミー実現に向けた新技術を採用した縦型高速双ロール鋳造実験機での高品質なアルミリサイクル材の量産化を目指し、必要な技術課題の解決を進める。2030年以降に量産化を実現し、2050年には業界全体で年間1800万トン規模のCO2排出量削減を目指す。
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