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2024/2/26
【ゴム用添加剤】ハリマ化成、日本ゴム協会関西支部主催第4回若手発表交流会にて「最優秀発表賞」受賞
ハリマ化成グループの子会社であるハリマ化成の研究員が、2024年2月9日に開かれた日本ゴム協会関西支部主催第4回若手発表交流会にて「最優秀発表賞」を受賞した。
日本ゴム協会関西支部では、若手の個人会員を対象に、各社の有するゴムに関わる技術・知識を共有し、各自の疑問や悩みを解決できるセミナーを開催している。同発表交流会は、参加者が発表者となり自身の保有する技術を伝え、聴講者となり他者の持つ技術を学ぶことで、互いに切磋琢磨し、スキルアップできる環境、関係づくりを目的としている。セミナー終了後には、親交を深めるための交流会も行われている。
受賞の対象となった発表内容は、「高極性ロジンによる新規tanδピークの発現とそのメカニズム」。同社は、再生可能資源である松から得られるロジン(松やに)の変性技術を活かしたゴム用添加剤の開発を行っている中、極性の異なる2種類のロジン(高極性ロジン、低極性ロジン)のゴム物性への影響について検討した。
極性の異なるロジンをゴムおよびシリカ(充填剤)とともに混練・成型することで、加硫ゴムを作製し、動的粘弾性測定を行った。結果、高極性ロジンを添加した場合のみ、ゴム由来のtanδ(損失正接)ピークに加えて、室温付近に新規tanδピークが発現した。新規tanδピークはロジンのTg(ガラス転移温度)とは異なる温度領域で観察されたため、ピーク発現には、高極性ロジンとゴムの相分離とは別の要因があることが判明した。
次に、新規tanδピーク発現への充填剤種の影響を把握するため、充填剤種をシリカからカーボンブラックに変更した加硫ゴムを作製し、動的粘弾性測定および顕微鏡観察を行った。結果、新規tanδピークは、シリカと高極性ロジンの組み合わせでのみ発現した。さらに顕微鏡観察からは、シリカ配合ゴムに高極性ロジンを添加した場合のみ、シリカの凝集が認められた。このことから、新規tanδピークの発現機構として、シリカの凝集が重要であること、また高極性ロジンがシリカの凝集を促進することが確認できた。
これらの成果をゴム用添加剤の開発に反映させ、ゴムの高機能化や適用範囲の拡大を可能にするとともに、様々な用途への展開を進めていく。
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