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2024/4/30

【リチウムイオン電池用セパレータ】旭化成、カナダで工場建設

 旭化成は、リチウムイオン電池(LIB)用湿式セパレータ※1「ハイポア(TM)」について、カナダ・オンタリオ州における製膜・塗工一貫工場建設を決定した。当該工場に関しては、本田技研工業(以下「Honda」)と基本合意書を締結し、出資に関する検討を進めている。また今回のカナダ工場建設において、2024年10月発足(予定)の旭化成バッテリーセパレータ※2は、日本政策投資銀行(DBJ)に対し優先株を発行し、資金提供を受けることに合意した。さらに、カナダ連邦政府、オンタリオ州政府から補助金・税恩典等を受ける予定。
<カナダ投資(工場建設)の概要>
(1)立地:カナダ・オンタリオ州
(2)設備概要:「ハイポア(TM)」製膜・塗工一貫ライン
(3)概算投資額:1,800億円
(4)生産能力:約7億平方メートル /年 (塗工膜換算)
(5)商業運転開始時期:2027年予定

北米投資のスキーム

 本件投資に必要な資金は北米セパレータ事業統括会社(ES Materials Holdings Corporation)を通じてカナダセパレータ事業会社(ES Materials Canada Corporation)と工場建設・製造を担当するカナダ製造会社(E-Materials Canada Corporation)に供給する。
1.事業について
 旭化成は『中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~ 』において、蓄エネルギー関連事業を「グループの次の成長を牽引する10のGrowth Gears(“GG10”)」の1つとして位置付けている。その中核事業である「ハイポア(TM)」は、40年を超える事業の歴史を土台に技術革新をリードし、民生用途から車載用途に販売を拡大してきた。
 今般、米国インフレ抑制法等による北米における電動車向けセパレータ需要の増加及びLIBサプライチェーンの現地化に対応すべく、今般新たにカナダ・オンタリオ州に製造拠点を新設することを決定した。

2.本田技研工業との基本合意について
 旭化成とHondaは、中長期的な成長が見込まれる北米の電動車市場向けに、高性能なバッテリーを安定的に供給するサプライチェーンの確立が重要との共通認識に基づき、今回の基本合意に至った。Hondaやその他の自動車メーカーの北米市場向け電動車に搭載されるバッテリーに向けて、「ハイポア(TM)」を製造する合弁会社設立の検討を進めていく。
 本田技研工業 執行役常務 小澤 学氏のコメント
 「Hondaは、カーボンニュートラルの実現にむけ、2040年までにグローバルでEVとFCVの販売比率を100%にするという目標を掲げています。セパレータはEVに欠かせないバッテリーの性能や耐久性の向上に寄与する大変重要な原材料であり、高い技術力と幅広い知見を有する旭化成とのパートナーシップによって、カナダでの生産に取り組むことは、Hondaにとって大きな意義のあるチャレンジです。この取り組みにより競争力の高いEVを実現し、将来拡大が見込まれる北米市場の電動化需要に応えていきたいと考えます」
 旭化成 常務執行役員 松山博圭氏のコメント
「旭化成は、蓄エネルギー関連事業を『グループの次の成長を牽引する10のGrowth Gears』の1つと位置付けています。その中核事業であるリチウムイオン電池(LIB)用セパレータ『ハイポア(TM)』は、40年を超える事業の歴史の中で技術革新をリードし、LIBの進化に貢献してきました。今回の協業を通して、北米市場での経験が豊富であり自動車電動化に注力するHondaとの連携を深め、本格的な電動化時代に求められるLIBの高生産性・高安全・長寿命に貢献することで、北米でのEV市場の成長とエネルギー転換の一翼を担っていきたいと考えています」

3.日本政策投資銀行からの資金提供について
 北米での「ハイポア(TM)」製造拠点の建設にあたり、LIBセパレータ事業における競争力およびLIB部材の供給力の強化に資するプロジェクトとして、旭化成バッテリーセパレータはDBJに対し優先株を発行し280億円の資金提供を受けることを決定した。

4.補助金等について
 本件投資に関しては、2023年9月にカナダ連邦政府と日本政府との間で締結された蓄電池サプライチェーンに関する協力覚書による支援を受けるほか、カナダ連邦政府、オンタリオ州政府から補助金・税恩典等を受領し、投資負担を軽減しつつ、市場拡大に応える十分な生産規模を追求する。
※1 LIBの正極・負極間に位置する多孔質膜で、正極・負極間でリチウムイオンを透過させる機能を有するとともに、正極と負極の接触を遮断し、ショートを防止する部材
※2 2024年2月7日のプレスリリースを参照

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