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2024/2/27

【半導体】アプライド マテリアルズ、オングストローム時代のチップ製造向けパターニングソリューションのポートフォリオ拡充

 アプライド マテリアルズ(Applied Materials, Inc., Nasdaq:AMAT、本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEOゲイリー・E・ディッカーソン)は2月26日(現地時間)、サンノゼで開催中のSPIE Advanced Lithography + Patterningカンファレンスにおいて、「オングストローム時代」のチップパターニング要件に対応する製品とソリューションのポートフォリオを発表した。半導体メーカーが2nm以降のプロセスノードへの移行を進める中で、EUVや高NA EUVにおけるパターニング課題(配線エッジの粗さ、突き合わせパターン間距離の制約、ブリッジ欠陥、エッジプレースメントエラーなど)への対応が求められており、新たなマテリアルズエンジニアリングや計測技術がますます重要になっている。

勢いに乗るSculpta:導入先と新アプリケーションが拡大
 アプライド マテリアルズが昨年のSPIEリソグラフィカンファレンスで発表したCentura® Sculpta®パターニングシステムは、形成されたパターンの先端を伸長加工することで、EUVまたは高NA EUVの1回露光で実現できるよりも突き合わせパターン部を近づけることができる。これによりEUVダブルパターニング工程を削減する。アプライド マテリアルズは現在、あらゆる最先端ロジックチップメーカーと協力して、Sculptaのアプリケーションの数を増やしている。現在アプライド マテリアルズは最先端ロジックチップメーカー各社と協力し、Sculptaのアプリケーションの数を増やしている。パターン間スペーシングの縮小のみならず、たとえばブリッジ欠陥の除去によるパターニングコストとチップ歩留まりの改善などにもSculptaが利用されている。
 アプライド マテリアルズのセミコンダクタプロダクトグループ プレジデント、プラブー・ラジャ(Prabu Raja)氏は次のように述べている。「先進的な半導体メーカーは、Sculptaを生産に導入し、EUVダブルパターニングステップの削減以外の活用方法も模索して、優れた成果を上げています。」「Sculptaはパターニングエンジニアが従来使ってきたツールキットにはない、まったく新しいツールです。技術者が想像力を駆使して困難な問題を新たな方法で解決することで、さらに多くのアプリケーションで使用されるようになるでしょう」。
 Intel Corp.のロジックテクノロジー開発担当コーポレートバイスプレジデント、Ryan Russell氏は次のように話している。「パターンシェーピングは、当社のプロセステクノロジーロードマップ推進に貢献する画期的なソリューションです。当社ではオングストロームプロセスノードにSculptaを採用しており、初期段階ながらスループット改善、ウェーハ歩留まり向上、プロセスの複雑さとコスト低減などの効果が出ています。パターンシェーピングは、高度なパターニングのための新しい戦略を促進し、リソグラフィプリントの限界を押し広げる道を開きます」。
 Samsung Electronicsのファウンドリエッチテクノロジーチーム マスター、Jong-Chul Park氏は次のように述べている。「パターンシェーピングは、EUV時代の重要課題に応えるブレークスルー技術です。当社はその早期開発パートナーとして、自社の4nmプロセスでSculptaの評価を進めています。コストや複雑さの低減、歩留まり向上など、好ましい結果が出ることを期待しています」。

EUVラインエッジラフネスを修復する新エッチング技術
 EUVでは放射される光子数が従来のリソグラフィより少なく、フォトレジスト上のライン/スペースパターンが不鮮明になりがち。その結果、エッジの粗いラインがウェーハにエッチングされ、チップ回路に断線や短絡が生じる恐れがある。こうした歩留まりキラー欠陥は、オングストローム時代を迎えて線幅やスペースパターンが狭くなるにつれ、より頻出しやすくなる。
 アプライド マテリアルズが発表したSym3® Y Magnum™エッチャーは、成膜とエッチングを同一チャンバー内で行う装置。このユニークなシステムは、粗いエッジに沿って材料を堆積し、EUVラインパターンをウェーハにエッチングする前に平滑化することで、歩留まりの向上とライン抵抗の低減を実現し、チップの性能と消費電力を改善する。ファウンドリ-ロジック分野では、すでに大手半導体メーカーがSym3 Y Magnumを重要なエッチングアプリケーションに採用し、オングストロームノードのEUVパターニングに活用している。メモリ分野では、Sym3 Y Magnum がDRAMのEUVパターニング用エッチング技術として最も広く採用されている。

オングストローム時代の新たなCVDパターニング膜
 アプライド マテリアルズは、Producer® XP Pioneer® CVD(化学気相成長)パターニング膜を発表した。Pioneer膜はフォトレジスト工程の前にウェーハ上に成膜され、所望のパターンを極めて忠実にウェーハに転写するために独自に設計されたフィルム。Pioneerは、最先端のプロセスノードで使用されるエッチングケミストリに対してより強い独自の高密度カーボン配合をベースとしており、優れた側壁形状の均一性を持つ薄膜スタックを可能にする。Pioneerは、すでに大手メモリメーカーがDRAMのパターニングに採用している。
 Pioneerはアプライド マテリアルズのパターンシェーピング技術Sculptaと協調最適化されており、パターンエンジニアは元のEUVパターンを綿密に制御しながら、パターンを最大限に伸長することができる。Pioneerは新しいエッチング装置Sym3 Y Magnumとも協調最適化され、ロジックやメモリの製造プロセスで重要となるエッチングアプリケーションにおいて、従来のカーボン膜よりも高い選択性と優れた制御性を発揮する。

プレースメントエラーを回避するAseltaテクノロジー
 業界をリードするアプライド マテリアルズの電子ビーム計測装置は、世界有数のロジックメーカーやメモリメーカーに採用され、重要なEUVパターニングアプリケーションの開発・制御に力を発揮している。中でも大きな課題の1つは、各レイヤ上に数十億個もあるフィーチャーを高密度に設定・配置し、次レイヤの対応するフィーチャーと正しく位置合わせすること。わずかでも配置誤差があるとチップのパフォーマンスや電力消費が悪化し、エラーの程度によっては歩留まりを損なう欠陥につながる。
 アプライド マテリアルズが先に買収したAselta Nanographicsは、輪郭を利用するデザインベース測定技術のリーダー。輪郭を利用することで、パターニング技術者はデザインレシピがパターニング膜やウェーハ上に生成する形状についての膨大なデータを得ることができる。このデータをリソグラフィやプロセスフローにフィードバックすれば、より正確なフィーチャーや配置を生成することができる。
 アプライド マテリアルズのイメージング&プロセス コントロール担当グループバイスプレジデント、キース・ウェルズ(Keith Wells)氏は次のように述べている。「Aseltaの輪郭テクノロジーは、当社のCD-SEM計測装置VeritySEM®と電子ビーム計測装置PROVision®にインテグレートされつつあります。これにより半導体メーカー各社は、オングストローム時代の広範な計測課題に応えるユニークかつ包括的な能力を手にすることでしょう」。

拡大するパターニング事業と製品ポートフォリオ
 アプライド マテリアルズは2012年以来、パターニングを研究開発の優先分野と位置づけ、困難をきわめるパターニング課題の克服に取り組むお客さまを支援すべく、特にEUVや高NA EUVといった新しいアプリケーションを念頭に、斬新な製品やソリューションの提供に力を入れてきた。現在、同社のパターニング製品ポートフォリオには、CVDおよびALD成膜装置、4種の材料除去装置(エッチング、選択的材料除去、パターンシェーピング、CMP)、熱処理プロセス、電子ビーム計測装置が含まれる。同社が参入しているパターニング関連市場は2013年には約15億ドル規模であったが、2023年には80億ドル以上に成長しているほか、同社の市場シェアは同期間に約10%から30%以上に伸びている。

アプライド マテリアルズ、パターニング ソリューション ポートフォリオを拡大

 最先端チップのパターニングの課題を克服するために、アプライド マテリアルズは、リソグラフィーの最新技術を補完する技術ポートフォリオを提供する。同社の最新のイノベーションには、Producer® XP Pioneer® CVD パターニング フィルム、Sym3® Y Magnum™ エッチング システム、Centura® Sculpta® パターン形成システム、およびデザインベースの計測用のAselta輪郭技術が含まれる。

パターニングエンジニアのツールキットにアプライドマテリアルズがプロセス革新をもたらす

 今後数年間で、半導体メーカーは、EUVおよび高NA EUVリソグラフィーを使用して最小パターンを形成する「オングストローム時代」のチップの実現を目指すであろう。この高度なパターニングを可能にするには、ソフトウェアと設計ツール、成膜とエッチングの革新、高度な計測と検査システム、パターン形成などのまったく新しいアプローチを含む、エコシステム全体の機能が必要になる。

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