アーカイブ情報

2024/5/9

【可搬式小型CO2分離回収試験設備】日鉄エンジニアリング、「m-ESCAP」の運用開始

 日鉄エンジニアリングは、このたび同社が提供する省エネ型CO2分離回収設備 ESCAP(R) ※の性能を再現できる可搬式小型試験設備「m-ESCAP(TM)」を開発し、運用を開始した。
 同設備はESCAP(R)商用機と同様に、排ガス性状やCO2用途に応じたオーダーメイドでの設備検討が実施できるほか、CO2回収率も商用機と同レベルの90%以上を実現しており、エネルギー消費量の高精度な評価が可能。これを用いることで、CO2回収性能、回収CO2の品質、吸収液への影響、操業安定性などを商用機導入前に評価することが可能になる。
 今後は、本設備をさまざまな種類の排ガスからのCO2分離回収の検討に活用することで、本格的な設備導入を検討されているユーザーに対して最適なソリューションを提案するとともに、幅広い産業へのCO2分離回収技術の普及を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
<m-ESCAP(TM)設備仕様>
CO2回収能力 0.2~1.2 t-CO2/日
CO2回収率 90%以上(標準)
原料ガス流量 75m3N/h(標準)
原料ガスCO2濃度 5~40 vol% (dry)

m-ESCAP(TM)を使用した検討実施例
1.日本製鉄東日本製鉄所 君津地区
 「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」の公募に対して日本製鉄が提案・採択された「高炉を用いた水素還元技術の開発/外部水素や高炉排ガスに含まれるCO2を活用した低炭素化技術等の開発」の取り組みの一環として、日本製鉄の製鉄所に設置され、実ガスによる吸収液の性能評価に活用中。
2.東京23区清掃一部事務組合 板橋清掃工場
 「グリーンイノベーション基金事業/廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」の公募に対して日鉄エンジニアリングが提案・採択された「CO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理技術の開発/化学吸収法をベースとしたCN型廃棄物焼却施設」の取り組みの一環として、東京23区清掃一部事務組合の協力のもと板橋清掃工場(東京都板橋区高島平)に設置し、清掃工場の排ガスからのCO2分離回収の実証試験を実施予定。

※ 省エネ型CO2分離回収設備ESCAP(R)
 製鉄所や発電所、各種工場で発生する排ガスなど、不純物の多い原料ガスから食品用途を含む高純度のCO2を製造でき、CCU(CO2の回収・利用)およびCCS(CO2の回収・貯留)を目的に幅広く適用が可能。日鉄エンジニアリングの ESCAP(R) は、排ガス性状やCO2用途に応じたオーダーメイドのエンジニアリングの提供が強み。高い熱エネルギー効率(汎用技術と比較し、熱消費量を43%低減)、原料ガスおよび製品CO2中に含まれる不純物の除去技術が特徴で、国内では商業機2件の実績(1.製鉄所排ガス向け:120t-CO2/日、2.石炭火力発電所排ガス向け:143t-CO2/日)がある。

カテゴリー
コンバーティングニュース

PAGE TOP