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2024/8/20

【大学見本市2024~イノベーション・ジャパン】工学院大学の坂本哲夫教授、1粒子単位で黄砂やPM2.5の発生源・浮遊過程を特定する分析技術公開

 工学院大学の坂本哲夫教授(応用物理学科)は、質量顕微鏡装置の開発を続けており、PM2.5と総称される微小粒子状物質の粒子1つずつの成分と同位体を画像化することに成功した。8月22日、23日に開催される「大学見本市2024~イノベーション・ジャパン」において最新研究成果を企業に向けて紹介し、社会での技術活用を進める。る。

黄砂粒子は PM2.5 よりもやや大きい粒子で、中国大陸から風に乗って飛来する。途中、都市や工業地帯の上空を通過するため、黄砂表面にPM2.5や排ガス成分が付着していると言われてきたが、本装置により、それが実証された。従来の電子顕微鏡では成分が分からない粒子(図 a)を本装置で成分別に画像化する(図 b-d)と、Si、Ca、Ti が集まった黄砂本体と分かる。表面には硫酸塩やススや鉛がはっきりと見える

 PM2.5粒子の発生源は工場排ガス、火力発電所、自動車、船舶など様々とされるが、個別粒子単位で成分や同位体を分析することは困難であった。坂本教授の研究では、細く絞ったイオンビームと波長可変レーザーを用いて、粒子1つひとつについて、無機・有機成分ならびに成分や同位体別の画像取得を表示する。鉛などいくつかの元素では発生源ごとに同位体比がわずかに異なると言われ、本手法を用いることで同位体比によりさらに具体的な発生源・浮遊経路の推定が可能となる。
 気候変動に影響していると言われる大気微粒子についても、同技術を用いることで粒子の詳細な情報が得られるため、大気環境基準を満たす対策の立案・実施に貢献する技術。実験では、イオンビームのみ用いた場合と比べ、レーザーを使用することで同位体分析精度を格段に向上させることに成功している。
 分析機器一式は巨大で持ち込むことができないため、8月22日、23日に開催される大学見本市では、高感度分析と同位体分析のキーとなる波長可変レーザーのみ実機を展示。構造と分析例を説明する動画を用意し、企業との製品化や技術協力に向けてディスカッションすることで、具体的な環境改善対策を推進する。また、本分析装置は電池や半導体などの試作品計測でも活用できるため、その説明も併せて行う。ブース番号はC-075。8月22日11:56~12:01には、プレゼン会場Aにてショートプレゼンテーションが行われる。

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