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2023/12/27

【炭素繊維】帝人、環境配慮型原料を用いた「テナックス」の生産・販売開始

 帝人は、持続可能な製品の国際認証に基づいたマスバランス方式(*1)を適用し、環境配慮型の原料を用いた炭素繊維「テナックス」の生産と販売を開始する。
*1 マスバランス方式:原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)とそうでない原料(例:石油由来原料)を混合させる場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対し、その特性の割り当てを行う手法。
 炭素繊維は、「軽くて強い」素材として航空機や自動車、スポーツ用品など幅広い用途で使用されている。
 近年、製品のライフサイクル全体を通じた温室効果ガス(GHG)の排出量削減のニーズが高まっており、炭素繊維が関わるサプライチェーン全体においても製造工程における環境負荷の低減が求められている。
 同社はこれまで、製造工程におけるGHG排出量の削減に向けて、製造拠点における自家発電用の燃料の天然ガスへの切替や、炭素繊維製品に関わる LCA(ライフサイクルアセスメント)評価の確立などを実施しており、2023年6月には持続可能な国際的認証の1つであるISCC PLUS認証(*2)を取得し、環境配慮型の原料を用いた炭素繊維「テナックス」の市場展開に向けた準備を進めていた。
*2 ISCC PLUS 認証:国際持続可能性カーボン認証。マスバランス方式によるバイオマスや再生材料などに由来する製品について、グローバルなサプライチェーン上で信頼性を管理・担保する国際認証の1つ。同認証を取得した企業のみ、同認証に基づいて生産された製品を認証品として宣言することが可能。
 このたび、ISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式を適用し、環境配慮型の原料を用いた「テナックス」の生産と販売を開始する。
 販売を開始する製品は、三島事業所で生産する「テナックス」のうち、同社がISCC PLUS認証に基づいて生産することが可能な炭素繊維。
 この炭素繊維は、製造に用いた環境配慮型の原料が石油由来のアクリロニトリルと同等の物性であることから、従来の石油由来品と同等の物性を有す。そのため、従来品から容易に切り替えることができ、製品のライフサイクル全体におけるGHG排出量の削減に貢献する。
 帝人は、環境配慮型の製品のラインアップ拡充に向けて、炭素繊維織物や、炭素繊維に樹脂を含浸したプリプレグなどについても環境配慮型の原料が使用できるよう、各製品に対するISCC PLUS認証の取得に向けた活動を進めていく。
 また、環境配慮型の製品の生産・販売体制を強化すべく、海外の拠点についてもISCC PLUS認証の取得に向けた活動を進めており、欧州の拠点では 2024年度初旬の認証取得、米国の拠点では2024年度中の認証取得を計画している。

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