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2026/5/7

【Printing】帝国データバンク、「印刷業」の倒産・休廃業解散動向を調査

 帝国データバンクは「印刷業」の倒産・休廃業解散発生状況について調査・分析を行った。

SUMMARY
 2025年度の印刷業の休廃業・解散(廃業)は230件(前年度比18.6%・36件増)となり、年間で最多を更新した。倒産(法的整理、負債1000万円以上)の91件と合わせ、年間で300件超の印刷業者が市場から退出した。デジタル化による「ペーパーレス化」の進展と、紙やインクなどの資材高騰、市場縮小により人材が思うように獲得できない、代表者の高齢化が深刻といった経営課題を抱え、事業継続を諦める印刷業が増えている。                   

集計期間:2000年4月1日~2025年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産

特売チラシも「デジタル化」で打撃 「印刷業」苦境、廃業最多に 
 2025年度の印刷業の休廃業・解散(廃業)は230件(前年度比18.6%・36件増)となり、年間で最多を更新した。倒産(法的整理、負債1000万円以上)の91件を合わせると、年間で300件超の印刷業が市場から退出した。デジタル化による「ペーパーレス化」の進展と、紙やインクなどの資材高騰、市場縮小により人材が思うように獲得できない、代表者の高齢化が深刻といった経営課題を抱え、事業継続を諦める印刷業が増えている。

 「情報を広く安く伝える」役割を担ってきた印刷業は、近年はインボイス制度の導入による紙での伝票・帳簿印刷の需要減や、アプリやSNSの台頭によるチラシ・DMの需要減に直面した。「新聞の折り込みチラシがスマホでのデジタル広告に取って代わられた」との声もあるなど、紙需要の消失が経営体力をむしばんでいる。加えて、印刷用紙やインクなど印刷資材の高騰、電気代、物流費、人件費といったあらゆるコストが高騰するなか、印刷需要の減少の中で失注を恐れてコスト上昇分を販売価格に転嫁できず、利益が出ない受注が常態化したことで事業継続を諦める印刷業が増加したとみられる。

 加えて、これまでの「巨額の設備投資による大量印刷・低コスト化」を前提としたビジネスモデルが、需要減と稼働率の低下によって投資負担が重荷となっている。食品メーカーやファストフード店向け食品包装材の印刷を手がけていた中堅クラスの印刷業では、過年度の大型設備投資に伴う減価償却の負担に加え、原材料の高騰などの影響が大きく、自力での再建を断念した。また、印刷業のなかには本業の需要減を補おうと、健康食品の販売や飲食店の経営など自社と関係の薄い事業への参入を試みたもののうまくいかず、却って経営体力の損耗を招いたケースもみられた。

 足元では、WEBサイトの構築やAR技術の活用、動画制作、業務のアウトソーシングなど、印刷業の知見を生かした「デジタルソリューション営業」へと事業を転換する動きもみられる。また、廃業や撤退が相次ぐ現況を好機ととらえ、積極的に新規顧客を引き受ける「残存者利益」の獲得、インバウンド需要の拡大で需要が伸びる土産菓子のパッケージ印刷など局地的なニーズを取り込み、売上高を伸ばす印刷業もみられた。ただ、印刷業全体の売上高は、ピークだった2007年度(8.3兆円)に比べて7割の水準にとどまっている。紙需要の縮小という逆風のなかで、新事業を開拓していくことは経営の苦しい中小印刷業にとってハードルが高い。紙やインク代、光熱費といったコスト高も続くなど、業界環境が好転する材料も乏しいなかで、事業を諦める印刷業は今後も増加する可能性が高いとみられる。

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