黒河由紀夫社長22 押出ラミネータ、シート製造システム、キャストフィルム製造システム、インフレ製造システム、リサイクル装置といった産業用機械を幅広く扱う住友重機械モダン。黒河社長によると、従来は軟包装材の生産システムがビジネスの中心だったが、近年は高機能フィルム・シート向けの躍進が著しく、早晩、包装用途を上回る見込み。 2020年3月以降のコロナ禍に伴い、業績が低下したコンバーティング関連企業もあるが、同社の場合、20年の売上高は60億円、受注高は70億円となり、従前と遜色ない数字となった。「中国において車載用LIB製造設備への投資が急加速しており、高機能包装用押出ラミネータの受注が急増した結果です。この流れは21年以降も継続していくと考えられます」。 国内の動きはどうか。「既存設備のユニットの交換や改造、部分的なリニューアルなどの案件が寄せられ、全体的に堅調に推移しました。コロナ禍によって計画が変更になるようなこともなく、国内のお客様は、アフターコロナに向けて粛々と準備を整えている印象ですね」。 フィルム・シート生産システムメーカーの住友重機械モダン㈱(横浜市港北区新吉田東8-32-16)が、中国において、車載用アルミパウチ型リチウムイオン電池(LIB)市場への押出ラミネータの展開を加速している。先進国および中国などの自動車市場におけるゼロエミッションビークルへの転換が後押しとなっており、当面は活況が継続する見込み。また、外装用部材であるナイロンフィルムのインフレーション製造システムや、タブリードに用いる絶縁材を製造するためのキャストフィルム製造システムを供給するなど、押出ラミネータを基点に、同社の製品ラインアップの強みを活かしたビジネスの拡大も図っている。黒河由紀夫社長に、LIB市場で確固たるポジションを確立できた背景や、将来の成長を見据えた取り組み ( 的場大祐)などについて伺った。 ■受注高70億、コロナ以前と 遜色なし ■車載用LIBは日本の技術の塊 現在、欧米や中国といった巨大自動車市場において、ガソリン車やディーゼル車からゼロエミッションビークル(環境に悪影響を与える廃棄物を出さない自動車)への転換を図る動きが高まっており、その筆頭である電気自動車(EV:Electric Vehicle)の生産体制の整備が急ピッチで進んでいる。一方、EVの中核部品であるLIBの現行の供給能力は絶対的に不足しており、EV世界最大手の米テスラ社をはじめ、欧州や日本の自動車メーカーがLIBの生産拠点の新設を発表しているほか、世界最大のLIBメーカーの中国CATL(寧徳時代新能源科技)も大規模な増産を計画している。 「まさに今、世界中で車載用電池の大増産時代が到来しています。そして、少なくとも中国市場では、住友重機械モダン㈱ 黒河由紀夫社長車載LIB用ラミネータ、実績で競合圧倒し受注急増伝送損失低減やモノマテなど先端ニーズ探索を重視
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