住友重機械モダン㈱5が高まってきている。「LCPもペイントプロテクションフィルムも、大きなビジネスに成長していくかは今のところ未知数であり、短期的には大きな利益を生むわけではありませんが、LIB以外の事業の柱になり得る分野を探索していくことは絶対に必要です」。 これまで同社が関りを持っていなかった分野への進出が重要とはいうものの、実際には簡単なことではなく、LCPもペイントプロテクションフィルムも同じ営業スタッフが中心となって進めた案件とのこと。そこで、提案力のある営業スタッフの育成を進める仕組みが必要との判断から、今年4月、営業部の業務グループ内に、既存顧客からの部品発注や改造などを主要業務とする「フロントグループ」という組織を新設した。 狙いについて、黒河社長は、こう説明する。「営業スタッフが客先で細かい仕事を依頼されれば、見積もりの作成といった作業にある程度の時間と労力を割く必要が出てきます。こうした業務をフロントグループが担うことで、営業スタッフは、ラミネータや各種製造システムといった主機の提案に力を注ぎやすくなるのではと期待しています。一方、フロントグループは、顧客からのオーダーに対応するだけでなく、プラスアルファを提案できるようになるのが理想です」。 黒河社長は「軟包装材分野での当社の知名度は、間違いなく高いでしょう」と述べ、こう続ける。「しかし、エレクトロニクス関連や半導体関連はどうでしょうか。まだまだ知られていないのが現実と思います。こうした分野に切り込んでいくには、次世代の市場ニーズの把握、それと対応する製品に関連する企業のリサーチ、技術的課題のMTECへの落とし込みなど、多方面に知恵を絞らないといけませんので、従来の枠組みだとなかなか踏み出しにくいですね。意欲的な取り組みを後押しできるよう、組織の転換を進めていく考えです」。 コロナ禍の状況次第だが、年末を目途に、顧客や協力会社を招聘してMTECの先端的なものづくりへの適用可能性を示すためのプライベートショーを企画している。 「柱となるテーマの1つが高機能性包材です。例えば、単一材料を用いるモノマテリアル包材について、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材に、PETのシーラントを積層する構成が可能なことをPRするアイデアが挙がっています。こうした構成の製品は、すでに市場に出ていないわけではありませんが、PETはオレフィン系樹脂に比べてハンドリング性が良くないので、ハード面で差別化を図りやすい分野とみています」。 また、モノマテリアル化においては、既存構成でアルミ層が担っていたバリア層をどう代替するかが課題であり、現行、アルミ蒸着フィルムを使うといった方法が採られている。「アプローチの候補として、インフレ製膜によってEVOHのようなバリア性樹脂の極薄層を組み込む方法もあり得るのではないでしょうか。全体に占める割合を極僅かとしてモノマテリアルの方向性は維持しつつ、実用上十分なバリア性能を持たせられれば、検討に値するのではと期待します。多層インフレフィルムは色々とユニークな応用が可能で、シーラントに手切れ性を持たせるといった、同じ層に複数機能を担持させた具体例を提示することもできると考えています。お越しいただく方々には、次世代製品の開発には当社技術の活用が早道だと実感していただきたいですね」。 主要仕様は、型締力:4000kN、可塑化装置:C250(φ28~ φ36),C560(φ40~φ50),C900(φ45~φ56)、タイバー間隔:W1110mm×H640mm、テーブル半径:664mm。 住友重機械工業㈱は、全電動二材射出成形機「SE400HS-CI」の販売を開始した。 近年、生産工程の省力化、デザイン・シール性などの機能向上、質感向上を目的とした二材成形の需要が増加している。特に自動車業界においては、成形品の高付加価値化・高機能化により金型が大型化しており、大型の反転盤を搭載した二材成形が強く求められるようになった。こうしたニーズに対し、全電動二材射出成形機CIシリーズのラインアップ(型締力290kN-2740kN)を4000kNまで拡充して対応を図った。 SE400HS-CIの主な特徴は以下の通り。①生産性向上:高速金型反転装置による反転時間短縮でサイクル短縮を実現。また、ダイレクトドライブ射出装置により高精度かつ高応答なスクリュ制御を可能とし、成形安定性を大幅に高めた。②作業性向上:独自の温調配管用ケーブルベアを搭載し、サイクル短縮・段取り短縮・金型自由度向上を実現。また、90度反転盤停止機能は、安全な配管・配線作業と作業時間短縮に寄与。③対応性向上:タイバー間隔を拡大したワイドプラテンや独自の温調配管方式により、大型金型の搭載を可能とし、分割金型では不可能だった長尺品の成形を実現。( 的場大祐)型締力4000kNの新型二材射出成形機を市場投入 ■営業部門にフロント グループ新設 ■次世代技術の開発に貢献できる可能性を
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