コンバーテック2021年10月号プレサービス
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22フェイスマスクのサンプル(今年7月、機能性フィルム展にて撮影)れまでも原料としてリサイクルされてきたが、電子レンジ向けの耐熱性の高いOPSは、端材を溶かしても混合しにくいため再シート化が難しく、リサイクルに適さなかった。 こうした課題を踏まえて同社は、原料メーカーと共同で、顧客の製造工程内でリサイクル可能な耐熱OPSを開発。すでにサンプルワークを進めており、一部では採用も決まっているという。 ( 高橋綾子) 三菱ケミカル㈱は9月、リサイクル性に優れた耐熱二軸延伸ポリスチレンシート「耐熱OPSシート」を開発し、量産体制を整えたと発表した。OPSは弁当容器のフタなどに使用されており、今後は製造段階で発生した端材をリサイクルして、資源循環につなげていく。 同社のOPSは軽量で強度があり、透明性、成形加工性にも優れるため、弁当容器のフタをはじめ、食品包装容器に広く使用されている。OPSのシートを打ち抜く際に発生した端材は、こ会社によって生地との貼り合わせや顔型にする抜き加工などが行われた後、フェイスマスクとして化粧品販売などを行う店舗に納入される。「フェイスマスクについては、すでに肌接触の刺激性をみるパッチ試験や金属アレルギー試験を実施し、安全性を確認しています。今は、製品化に向けた最終段階だと聞いています」と美川氏は言う。 抗酸化材料の機能性は、活性酸素の除去率で判断しているといい、「活性酸素を含む溶液の中に、私たちの多孔質フィルムを浸漬させる実験ですが、浸漬させた後、液中の活性酸素が98.3%減少していることを確認しています」(美川氏)とのことだ。 また、このフェイスマスクは繰り返し使用できるのも特徴だ。使用後には水で洗浄、乾燥させて保管し、再び使用する際にはもう一度水に浸す。美川氏は、「使い捨てではなく、繰り返し使える環境にやさしい点もPRできれば」と期待する。 「顔に貼る用途はあくまで後付けで、当初はウレタンを生かして何かを作れないかと考え、その結果、フェイスマスクという用途が見つかった、というのが本当のところです。顔以外にも、かかとやひじなどの皮膚の状態を良くする製品など、シート化することでメリットを引き出せる用途に注目しています」と美川氏は期待する。 加えて、「多孔質フィルムを特徴付けるには、中に担持させる『機能性素材』の存在が不可欠です。それは私たちの技術だけでは難しく、材料をお持ちの会社さんに出会って、必要に応じて加工のアレンジを行うといった段階が必要。こうした材料とは展示会を通して出会えるケースが多いですが、私たちとしても初めから用途を絞らずに、広い視野をもって開発していきたいですね。当社には、それぞれの機能性素材に応じてカスタマイズできる製造技術があります」と続けた。 美容用途にチャレンジすることで、「市場が広がる可能性を感じる」と美川氏。「異業種は面白いですね。お客様が全く違いますし、私自身も非常に刺激になっています」と語った。シート化が難しかった用途に 抗酸化材料のほかにも、全く別の機能性素材を混ぜたいという要望があり、材料メーカーと製品開発を進めている。こちらも最終製品は美容シートであり、「より美しく」を求める美容用途へのニーズの高さを感じると美川氏は言う。 「材料メーカーさんが、当社の多孔質フィルムに関心を持っていただいた理由の1つに、『今まではシート化が難しかった材料を使えるようになる』という点があります。例えば、当社の多孔質フィルムに担持させてシート化することで、従来は、手で顔に塗っていたものを、シートを貼るだけで済ますことができるわけです。消費者にとっては、より使い勝手がよくなりますね。また、シート化することで、塗るよりも肌に浸透しやすくなる可能性もあり、こうした点も今後検証していきたいと考えています」(美川氏) 今はフェイスマスクとしての製品展開を打ち出しているが、貼る部位は顔に限ったものではない。リサイクル性に優れた耐熱ポリスチレンシートを開発、製造段階の端材を再利用

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