コンバーテック2021年10月号プレサービス
62/110

hieldw SWinod55問い合わせNaoki.Hanashima@dexerials.com図1 TFT-LCD HUDの光学系concave mirrorFree-shapeTFT-LCDLensLEDCover(Glare trap)Cold mirrorDiffuserり、無駄な光を生じさせずに輝度ムラを低減する拡散板が求められている。このようなニーズは、近年広がりを見せているレーザー光源を用いたプロジェクタでも見られる。青色レーザー光源による蛍光体ホイールの劣化を抑えるために、コリメートされたレーザー光のピーク強度を低減することが求められている。 これらのニーズに対し、従来、微粒子塗布型の拡散フィルムや、ガラス基材のウェットエッチングによるフロスト拡散板などが用途に応じて用いられている。これらの拡散素子は安価で使用しやすい反面、基本的にランダム構造によるガウス拡散分布であることから、拡散特性はガウス状に一義的に決まってしまい、光の利用効率を最大化するための細かい特性制御が困難であった。 マイクロレンズアレイ(Microlens Array:MLA)は、その集光機能を利用して、プロジェクタの透過型液晶パネルの透過率改善や、イメージセンサでの開口率向上、光ファイバ同士の結合を行う光インターコネクトの他、幅広い領域で用いられてきた。近年ではその拡散機能に着目した用途も広く知られており3)、今回当社が開発した拡散素子は、このMLAをベースとしたものである。HUDのバックライト向けやレーザープロジェクタ向けでは、構造に適度な不規則性を加えることで回折成分のない均質なトップハット拡散特性を得ることで、高効率か多層化・複合化と機能付与1.はじめに 拡散マイクロレンズアレイ(DMLA)は、マイクロレンズアレイをベースとした拡散素子である。車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)やレーザープロジェクタ等のプロジェクションディスプレイにおいて、その回折のない均質かつトップハット状の拡散特性によって光の利用効率を大きく改善できる。本稿では、その設計手法と、デクセリアルズが製品化しているガラスタイプ、フィルムタイプについての概要を説明する。 近年、実際の道路景観と同時に様々な運転情報をドライバーの視線を動かさずに視認できるヘッドアップディスプレイは、高級車を中心に搭載が進んでいる。HUDユニットの方式としては、変調素子としてTFT/LCDの他、MEMSやDMDを用いたもの、光源としては、RBG or 白色LEDを用いたもの、レーザー光源を用いたもの等、様々な方式が開発・実用化されている1),2)。これらの中で広く用いられているTFT/LCD方式のバックライト光学系を図1に示す。この中で拡散フィルムは、白色LED基板とTFT/LCDパネルの間に配置され、LEDアレイからの光ムラを低減してパネルに照射するために用いられる。HUDユニットの設計上、光の利用効率はユニットのサイズや消費電力を大きく左右する要因となってお

元のページ  ../index.html#62

このブックを見る