コンバーテック2021年10月号プレサービス
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66大成ラミネーターのラミネート加工現場での省力化事例りの経過、つまりモノを作り出すシステムを売りたいと考えていたんです」 ラミネーターを売るだけでなく、ユーザーともやり取りをしながら製品の製法そのものを作り出すことを志向していたなかで、時代は変わって「人(Man)」「機械(Machine)」「方法(Method)」「材料(Material)」の4M管理が重視されるようになり、やがて「こういった仕様のラミネーターを開発してほしい」といったユーザーの声がほとんどになった。「でも、本音としては『この仕様のラミネーターにすれば、こんな製品が作れます』と当社から提案がしたいですよね。言われた通りに図面を書き、組み立てるだけなら、他社でもできますから。それを転換していかなければいけない。プログラムで動くロボットとの組み合わせによって、当社のラミネーターではこんなことができると自社から発信できる機械屋に変わっていきたいです」。800枚/100分要員1名・コンベア速度 1.25m/分後工程で4辺をカット/名要員0名・コンベア速度 2.5m/分後工程で1辺をカット/名1600枚/100分 「受注の通りにモノを作る」だけじゃない、無二のラミネーターシステムを提案したいという考えは、前社長の願いでもあったという。創業以降の時代の流れを萩原社長はこう振り返る。 「先代がラミネーター販売を始めた当時は、主流だったセロポリ(セロファンとポリエチレンのラミネート加工品)をどう活用するかを各社が考えていた時代でした。当時は国内にラミネーターメーカーがあまりおらず、たとえば両面テープへのセロポリのラミネートで、既存ラミネーターだとうまく貼れないということで、当社が全ての接着材メーカーからラミネートを請け負ったこともありました。フィルム・シートは実際に貼ってみないと分からないことも多く、テスト機を入れた結果、それがラミネート加工ビジネスにもつながっていきました。当時は、まずポテンシャルがある材料があり、それをどう応用するかを考え、その実現のために当社製ラミネーターが使えます、といった提案ができていた時代でした。前社長は、モノづくり、将来的には、ラミネーターまわりでも人とロボットが“協調”して働く姿が当たり前になってくるのではないでしょうか」(松下課長)。 ワークごとに必要なアームのハンド部分は、オムロン製の既成ハンドだけでなく、ニーズに応じて大成ラミネーターがカスタマイズして提案する。現在、同社ではデモ機を顧客先へ持ち込んだテスト運転などによる紹介を進めており、持ち込んだ先でも、約1〜2時間ほどあれば、ロボットに代替させたい作業を学習させて(動作プログラムを組んで)試運転ができるという。TMシリーズは、可動域での安全性が担保できれば安全柵なしで設置できるため、産業用ロボットとしては導入が手軽なのもメリットの1つ。今後は自社製ラミネーターと組み合わせ販売にこだわらず、既存設備への単体での追加なども含め、広く導入提案していく見込みだ。 「コンバーティング業界の生産現場では、熟練作業員の退職や後継者不足による技術継承などが懸念されるなかで、ロボットが人の作業を学び、伝承する担い手になるような、ロボットが人の仕事を奪うのではなく、ロボットと共存するという製造現場のあり方はますます注目されるのではと思いますね」(萩原社長)多層化・複合化と機能付与受注生産だけじゃない、「モノを作り出すシステム」を売りたい

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