度感視比77図2 電子ディスプレイデバイスの機能(筆者作成)図3 人の眼球3)図4 比視感度(CIEの数値データを基に筆者作成) 標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、人の比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。 図4にCIEによって決められた比視感度曲線を示す。視覚系の網膜構造に依存して、明所視の場合と暗所視の場合がある。明所視とは明順応視している場合で輝度レベルでは3cd/m2以上で、まぶしくない状態に順応している状態を示している。暗所視とは、輝度レベルが3x10-5cd/m2以下で、暗順応視している状態を示している。 なお、明順応視と暗順応視の間の輝度レベルを中間順応視と呼んでいる。上述のように、人間の目の感度は明るさによって変わる。明順応(10lx以下の明所視状態)では黄緑(555nm)、暗順応(0.01lx以下の暗所視状態)では緑(507nm)が最も明るく感じ、順応状態での単色光の見かけの明るさも変化する。この順応状態による感度変動をプルキンエ現象(Purkinje Phenomenon)といい、感度が移行することをプルキンエシフト(Purkinje shift)という。 また、人間の目は光の明るさに慣れる明順応、暗順応だけではなく、光の色に慣れる「色順応」という性質も有する。光源が変わると今まで見ていた色は当然違って見えるが、色順応により次第に(ある程度の違いなら)今まで見ていた色と同じ状態に見えてくるという現象が生じる。この現象を「色彩の恒常性」という。 国際単位系では波長555nmでの視感度683lm/Wを最大視感度とする「明所標準比視感度」を純物理量に乗じて光束、光度、照度、輝度、光量といった心理物理量にしている。 表2に放射量と測光量の比較を示す。筆者の大学時代は電気工学科では「照明工学」が必修科目であったが、数十年前から文科省の方針でなくなっている。しかし、ディスプ電気的情報信号各種電子機器シュレム管隅角繊維柱帯後房瞳孔前房虹彩水晶体チン小帯光情報信号パターン化情報発光型非発光型数字、文字、図形、画像黄斑部硝子体視神経乳頭視神経強膜脈絡膜網膜1.00.8中心窩0.60.40.20.0390410430450470530550490560510580波長(λ)nm青線:明所視感度赤線:暗所視感度6006206406606807004.ディスプレイの評価要素4.1 視覚とディスプレイ2) 図3に示すように、人の眼球の水晶体(レンズ)は、3次元の光画像を2次元の光画像に変換して網膜に結像・投影する。網膜には光に反応する視細胞が片目だけで1億個以上も存在しており、光の刺激を信号に変えて脳に映像を伝える。視細胞には錐すいたい体と桿かんたい体細胞の2種類がある。錐体細胞は、明るい場所で色を認識できるが、暗闇ではその働きが低下する。逆に、桿体細胞は色を区別できないが、わずかな光でも感知できるため、主に暗い所で働く。このため、ヒトは暗い場所では、モノのカタチは分かっても、色がはっきりとは分からなくなる。錐体細胞には以下の3種類がある。①赤錐体(R) :(可視光の)長波長域に反応②緑錐体(G) :(同)中波長域に反応③青錐体(B) :(同)短波長域に反応 比視感度(Luminosity Function, or Photopic Luminous Efficiency Function)とは、人の目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。明るい場所に順応したときに、人の目が最大感度となる波長での感じる強さを"1"として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。
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