88みの推進度を自己診断していただきたいと思う。拠り所となるのは、2019年7月に経済産業省によって公表された「『DX推進指標』とそのガイダンス」※である。これは、経済産業省が2018年に「DXレポート」で「2025年以降、最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」とする“2025年の崖”の警告を発した翌年に公表したものである。「警告されたとて、レガシーシステムの根は深く広く、自社の課題を客観的に把握して進捗度合いを評価することは難しい」と感じている経営者が多いことを受けてのものであった。今回は、コンバーティング業界の多くのクライアント企業の経営者の戦略参謀として支えてきた筆者の視点から、数十ページに及ぶ「『DX推進指標』とそのガイダンス」を、可能な限り噛み砕いてアレンジを加え、簡便に扱える形で読者の皆さまに提示してみようと思う。※経済産業省「『DX推進指標』とそのガイダンス」(2019年7月31日)https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf1.はじめに 数年前までは舶来モノの謎のカタカナ語だった「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」も、今ではすっかりお馴染みのビジネス用語となった。本連載は、どの産業に属する企業もDXを免れられなくなった今日、とりわけコンバーティング業界で求められるDXのあり方を問うべく本誌8月号から開始したものである。 第2回では、インターネット革命の波を受けて、パッチワーク的に進められてきた各業務のIT化の結果が「レガシーシステム」として立ちはだかり、かえって全社的なDX推進を阻害してしまっていることを指摘した。また、コンバーティング業界の企業の多くが製造業であることを念頭に、レガシーシステムが残存しがちな8つの対象領域を挙げ、どこから手を付ければよいのかを論じた。「うちは時代に合わせてIT化を進めてきたので、DXはそれなりにできている」と自負している方にとっては、IT化の産物こそがDXの阻害要因であるとの指摘は、青天の霹靂だったのではないだろうか。 第3回となる今回は、そのような方にこそ自社の取り組
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