111図 59 共押出成形樹脂の溶融粘度差による包み込み現象 ⑧のシワ不良は、AC塗工ロール前のガイドロールとAC押付けロールの平行出し、押付けロールのゴムの膨潤変形(交換)、ラミネート部挿入前のガイドロール調整不足、サンド繰出基材の挿入張力と入角度、巻取部の巻取シワ(巻取条件の調整)などがあります。 ⑨の外観不良の炭化物、異物混入は、押出機とTダイの洗浄不足、異物付着跡不良はライン工程上での付着跡、および粉振り部での帯電防止除去効果不足により、粉付着不均一により発生します。ライン工程の清掃と除電バー取り付け高さの確認と調整が必要です。 共押出は、共押出する樹脂の種類、厚みバランス、層間接着、樹脂の粘性、流動特性など、さらには、加工の経験と同じく、スタート前の各原材料、樹脂、AC剤、押出機とTダイ設定温度、加工速度、Tダイ口からニップロールまでの押出溶融樹脂落下位置の設定などの準備で良し悪しが決まります。 図64に共押出シングル・タイプの主なトラブルと発生個所を示し、その代表的な対策を述べます(トラブルの内容の数字が図中の数字の位置で発生することを示しています)。 ①、②の接着不良は、共押出に使用する樹脂同士の相溶性に起因します。接着し難い樹脂の場合は、層間に接着性樹脂の採用、樹脂別最適加工条件の決定が必要です。 ③のAC剤の選択不良を避けるには、あらかじめ基材・用途別に分けてAC剤(イミン系、イソシアネート系)を決めておくことです。 ④の厚み偏肉不良は、使用樹脂の加工温度の差、流動特性からくる包み込み移行現象(エンカプシュレーション、図59再掲)を考え、フィードブロックのブロック部で層の流れを経験的に数値化して、調整します。また、サンド繰り出されるフィルムの厚みも考慮する必要があります。 ⑤のカール不良は、サンド操出部から繰り出されるフィルムの挿入張力をできるだけ弱く保ち、次に低ライン速度でカールをコントロールします。 ⑥の耳混入を防ぐには、スタート前にスコアカッターの丸刃の切れ具合と耳巻取装置、あるいは耳吸引ブロアダクトの詰まりを確認してから、生産をスタートします。耳のトリミング不良は、機械停止まで進み、ロスを大きくします。 ⑦のピッチ不良には、繰出部基材の印刷流れピッチ不良があり、AC剤塗工ロールとラミネ-トロール間の強い張力、ラミネート部のバックアップロールの冷却効果不足などが主原因となる場合が多く、確認と調整が必要です。と技術の蓄積が必要になります。 コンバーティングの加工は、管理技術より、まず固有技術の向上、暗黙知から形式知化、技術の共有化が最も重要とされています。 固有技術:現場のモノを作る技術と技巧(直接的モノづくり) 管理技術:固有技術を効率的に使用して、生産能率、生産性を上げる技術(間接的モノづくり) 機械は正直です、条件を作り込めば作り込むほど、機械は正しく正直に動きます。そこで再現性のある条件が生まれ、優れたモノづくりの現場が育っていきます。また、不良、ロス、不具合の少ない現場が期待できます。①LDPE/EVAの場合②LDPE/PPの場合LDPE③白PP/PPの場合白PP④EAA/LDPELDPEEVAPPPPEAALDPEOPP / AC / LDPE / EVAPET / AC / LDPE / PPLDPEPPOPP / 白PP / PP白PPPPAL / EAA / LDPEEAALDPE共押出共押出共押出共押出
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