※1 センニンモ、クロモ、コカナダモなどが多い。※2 琵琶湖を横断する橋で、大津市(西側)と守山市(東側)を結ぶ。 滋賀県によると、琵琶湖の水草※1は、琵琶湖大橋※2以南の南湖に多く繁茂している。本来、水草は湖に酸素を供給したり、魚に産卵の場を提供するなど必要な存在だが、大量に繁茂すると様々な問題が生じる。例えば、水草の呼吸による湖底付近の溶存酸素濃度の低下や湖流の滞留、船舶の航行障害などが指摘される。また、ちぎれた水草が湖岸に打ち寄せられて腐敗し、悪臭が発生して生活環境にも影響を与えている。繁茂の著しい夏には、南湖の湖底の約9割(45km2)が水草に覆われる状況であり、県では南湖の水草繁茂の状況を、1930年代の「望ましい繁茂状態(20〜30km2)」に戻すことを目標としている。 南湖の水草は1994年の大渇水以降に急増し、近年は約10万トン(湿潤重量換算)が繁茂していると推定される。水草が大繁茂するようになった要因について、県琵琶湖保全再生課の担当者は、「富栄養化対策による水質改善で透明度が増したうえに、水位の低下によって、以前より深い場所にも光が届くようになり、水草の分布が拡大したことが大きい。また、水草自身も栄養塩の吸収により植物プランクトンの増殖を抑制することで、透明度を上昇させる。それにより、水草がさらに増えることもある」と説明する。 なお、琵琶湖の北湖で水草が問題化しにくいのは、「水草が生育できる水深10m以浅の水域の幅が狭いことに加え、浅くても波浪が強く、水草が繁茂できない場所があることなどが挙げられる」と県担当者は続けた。 県では水草対策として、漁船による「根こそぎ除去」18コンバーテック 2021. 12水草堆肥「ゆめ咲咲」根こそぎ除去作業(滋賀県提供)で提供できること。堆肥化工程で米ぬかを使用するため、線虫による病害が減って連作障害が少なくなること。さらには、作物の収量の増加が挙げられる。過去の実験では、ネギや小松菜では従来の肥料に比べて圧倒的に収量が多く、また花の栽培では、2倍ほど大きな花に育った。冬季に無肥料や化学肥料を用いた花は枯れたのに対し、水草堆肥の花は枯れるのが遅かったという。 「収量の増加は、水草にバイオスティミュラント効果がある可能性を示唆します。バイオスティミュラントとは、植物に対する非生物的ストレスを軽減して、収量の減少を抑える効果のこと。欧州で海藻を発酵させたエキスには、高温等のストレスを受けにくい物質が含まれることがありましたが、琵琶湖の水草にもそうした効果がある可能性が出てきました」と青山社長。 また、米ぬかや水草はミネラルを多く含むため、マグネシウムなどを豊富に含んだ作物が育つ。マグネシウムには葉緑素を作る働きがあり、葉緑素が増えると光合成によって糖分が増えるため、甘くて美味しい作物が作れるのだという。 さらに、青山社長は「有機栽培との相性の良さ」もメリットの1つに挙げた。 「有機栽培を行う農家にサンプルを提供していますが、農家の方によると、牛糞や鶏糞といった動物由来の肥料には、飼料に含まれる化学物質が残っている懸念があるそうです。『本当に欲水草堆肥ならではの 5つの特徴 同社の水草堆肥は「ゆめ咲咲」と言い、来年には販売を開始する予定だ。 ゆめ咲咲の特徴は主に5つある。まず、短時間で肥料化できるため低価格■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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