と刈り取り船による「表層刈り取り」の2つの手法で水草を回収している。根こそぎ除去は、マンガンと呼ばれる漁具を湖底に沈めて、底層から水草を根こそぎ取り除く。表層刈り取りでは、湖の表層(水深1.5m程度まで)に生育する水草を刈り取る。県では、これらの手法で毎年6000トン(湿潤重量)前後の水草を回収している。コンバーテック 2021. 12回収した水草、全量堆肥化して無料配布 県は、回収した水草の全量を堆肥化し、2012年度から希望者に無料で配布している。県の担当者によると、「19年度の調査では、水草堆肥を利用された方の約7割が『また19WEF技術開発㈱利用したい』と回答されており、おおむね好評」とのことだ。 ただ、堆肥化には課題もある。水草を露地に集積して重機でかき混ぜながら乾燥・発酵を促しているが、水草は水分量が多いため、堆肥化が完了するまでに2〜3年はかかる。また、水草には釣り糸やプラスチックごみなどの異物が混入するため、これらを取り除く作業も必要だ。 県では、16年度から「水草等対策技術開発支援事業」として、水草除去や有効利用などに対する新たな技術開発などに補助金を交付する事業をスタート。WEF技術開発㈱も、この事業の採択を受けている。県の担当者は、「水草の回収と堆肥化にかかる費用は年間約3億円。県の財政が厳しい中で、企業などの技術開発などにより水草が地域資源として有効利用されることで、水草繁茂が抑制され、環境と経済の好循環が生まれればいい」と説明する。 そして、「水草の現存量は、過去最大量の18万トン(湿潤重量換算)に上った14年に比べて、近年は10万トン前後で推移しており、対策の効果は出ているのではないかとみている。ただ、自然・生活環境への影響は差し迫った課題であり、引き続き企業の活力を生かしながら、対策に努( 高橋綾子)めていきたい」と語った。 本社 「不要なもの」である水草が肥料になることで、漁業も農業も潤い、消費者は作物を食べて健康になるという好循環が生まれる。青山社長は「SDGsの理念に沿った、分散型の持続可能な地域を構築できる」と言い、「消費者の健康寿命をのばすことができれば、医療費の圧迫も抑えられる。こうした『プしいのは植物由来の肥料だが、供給量が少ない。水草堆肥を安定的に提供してもらえるならありがたい』との反応でした。私たちも思いつかなかった用途ですが、これは水草堆肥の大きな特徴だと言えます」表層刈り取り作業(滋賀県提供)い、農園や個人農家に提供して、「水草堆肥作物」を作る流れはできてきた。残る課題は、一般消費者にどうアピールするかであり、「ホテルのレストランや食堂で、水草堆肥を使用した有機野菜を使ってもらいながら、消費者に広めていきたい」と青山社長は意気込む。漁業、農業は潤い、消費者が喜ぶ「好循環」 原料となる水草は、水草堆肥として販売する場合は、滋賀県から購入することになるという。「水草を刈り取った後、その運搬にコストがかかるので、水揚げされた港の近くに堆肥化施設を設けるのが理想。水草除去に携わる地元の漁業協同組合とも連携していきたい」と青山社長は言う。 こうして水草堆肥の生産体制は整
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