1.LiB向けコーティングラインの事業動向2.LiB向けコーティングラインの課題と対策90コンバーテック 2021. 12当社におけるLiB向けコーティングラインの販売傾向を見ると、国内、アジア、欧州で傾向が異なる。具体的には、国内では、新規生産機の引き合いや導入は以前と比べ減少傾向にあるが、次世代を見据えた小型開発装置や、すぐにでも生産機として使用できる規模のテスト装置の引き合い、受注の機会が多い。一方、アジアに目を向けると、環境問題を主な理由とする二次電池の増産からコーティングラインの増設が目立つ。アジアにおけるLiB市場では、過去には品質の問題から日本製装置の採用が多かったが、近年では韓国・中国メーカーの装置でも製品を製造できるようになり、引き合いが減少傾向にある。この主な理由として、これまで、電極生産におけるコストダウンのために日本製装置での広幅化(箔幅1200〜1300mm)を進めてきたが(図1)、狭幅(600〜800mm)の韓国・中国製装置の品質向上が進み、総合的な製造コストで考えた場合の選択肢が広がったことや、特に中国においては自国内調達による装置納期の短縮化が出来ることなどが考えられる。欧州においては、近年、2次電池に対する投資が活発化し、工場の建設から設備導入まで2〜3年後を目途に大型投資を行う企業が増えている。この事業に関係する引き合いは非常に活発であり、当社も相当のマンパワーを充てている。欧州向け装置の要求事項は内容が非常に厳しく、従来装置の仕様では達成が難しい。この客先要求事項を達成するために必要となるものが塗工調整の自動化であり、開発を進めてきた当社の技術が生かされると考えている。以下、LiB向けコーティングラインにおける課題とその対策の一部を紹介する。従来は箔幅600〜800mm程度であったが、生産効率の追求や製品のコストダウンなどを理由に、箔幅1200〜1300mmでの生産が求められるようになり、当社も広幅装置を提供してきた。しかし、箔の図1 広幅LiB向けコーティングライン例平滑性や薄膜化、厚膜塗工による膜の乾燥時収縮などの問題から様々な搬送トラブルが発生する。その中でも特に、未塗工部の折れジワが問題になることが多い(図2)。広幅のLiB向けコーティングラインでは幅方向に未塗工部を設けるストライプ塗工が一般的である。塗工後の搬送ローラ上で基材に幅方向の滑りが発生すると、塗工部と未塗工部の強度差により未塗工部で折れジワが発生する。対策の1つとして、基材をローラ上でグリップさせシワを防止する方法があるが、一般的な金属ローラでは高速搬送時に空気巻き込みの影響で摩擦力が低下して基材をグリップできない。加えて、塗工膜がローラに接触すると電極膜表面の構成粒子がローラ表面に転写され、次第に摩擦力が低下してグリップが低下するのでグリップ力の大きいゴムローラを使用しても効果が期待できない。そこで当社では、基材のグリップが維持できるように、ローラ表面に特殊な加工を施した金属ローラで折れジワを防止している。2.1 広幅高速搬送時の折れジワ㈱テクノスマート技術統括部 研究開発部 研究開発課 技術係 築地 鉄矢LiB向けコーティングラインの技術動向
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