図4 自動化例未塗工部塗工部塗工部に生じたクラックPLCPカメラ膜厚測定乾燥炉検査装置91LiB向けコーティングラインの乾燥欠陥は、主として反り・クラック・膜剝離が挙げられる(図3)。いずれの乾燥欠陥も乾燥速度を調整することで改善を期待できるが、生産効率とのトレードオフである。また、製品の仕様が装置の設計範囲を超えるような厚膜になると、乾燥速度の調整では改善できなくなる。図2 折れジワ図3 乾燥欠陥例(クラック)2.3 省力化(塗工条件出しの自動化)一般的に高精度な塗工調整はオペ対策として、高温高湿度雰囲気やIRヒーターの利用が挙げられる。当社滋賀事業所のテスト機でもそれらを備えており、テストを実施することもあるが、設備コストに対して十分な生産効率や品質を得られない場合があり、生産機では未だに熱風乾燥炉が主流である。熱風乾燥炉では、ドライヤー各室の温度や風速条件の最適化を図り、ドライヤー全室を用いて効果的に塗膜に熱を加えられるように考慮している。レータの熟練が必要である。しかし、人員の入れ替わりが頻繁な海外では、塗工調整技術の習熟と伝承が困難であることが多く、誰でも容易に生産できる装置が要望される。こうしたニーズに応えるため、省力化のために①幅方向膜厚調整、②塗工幅調整について自動化した例を紹介する(図4)。①幅方向膜厚調整:塗工直後の膜厚を測定して幅方向膜厚を自動で調整する。膜厚は検査装置よりフィードバックすることも可能であるが、検査装置は乾燥機の出口以降に配置されているため電極スラリー・基材のロスが生じる。そのため当社では塗工直後に設置可能な膜厚測定装置を開発した。②塗工幅調整:塗工直後の塗工幅を膜厚計やインラインカメラなどにより測定し、塗工幅を自動で調整する。搬送方向に塗工部と未塗工部を設ける間欠塗工では、ダイ給液口に配置したバルブにより塗工と未塗工を切り替えながら膜厚を制御する。当社では間欠塗工を「CB(Coat&Blank)塗工」、バルブを「CBバルブ」と呼称している(図5)。CB塗工速度は年々高速化しており、当社では60m/min以上を高速と位置付けている。高速CB塗工を達成させるには、生産設備だけではなく電極スラリーの物性値を含んだ様々な要素の検討が必要である。その中でも高速CB塗工に必要な機械的な要素は、①バルブの高速高精度制御、②サックバック機構、③バルブの最適化、④圧力損失の少ないダイ・配管、⑤空気溜まり防止、が挙げられる。以下に、これらに関する当社技術の留意点をまとめる。①バルブの速度制御:搬送方向の塗工長や両面塗工時の始端・終端位置合わせの精度を決定する。CBバルブは弁体の開閉にサーボモーターと専用制御ユニットを使用して高速高精度制御を実現している。②サックバック:ダイ側の液を吸引する2.2 乾燥欠陥コンバーテック 2021. 122.4 CB塗工(間欠塗工)2.4.1 高速CB塗工CONTRIBUTION
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