Rolling Shutter図6 RSとGSの撮像例比較(展示ブースで許可を得て ドと高飽和モードの両モードを実現できる。高感度モードでは、4.5万電子の光量までのデータを高感度に撮像することが可能である。一方、高飽和モードでは、45万電子の大きな光量までのデータを撮像することを可能としている。 このセンサでは、高飽和モードにおいて、高感度モード比10倍の大きな光量まで撮像可能なので、図4のように、薄暗い室内から日の当たる屋外まで、明暗差の大きいシーンにおいても、黒つぶれ、白飛びのない、色調鮮やかな撮像が可能となる。また、逆光でも正確に撮像できる(図5)。Global ShutterVehicle speed:80km/h3.1 画素内−容量結合型ノイズキャンセル技術 有機CMOSイメージセンサの構造的特長を活かし、配置自由度の大きい回路部に、高速なノイズキャンセル技術、高飽和化を実現する技術を搭載することで、通常はトレードオフとなる8K高解像度でのフレームレート60fps読み出し、高飽和特性実現による広ダイナミックレンジ化、GS機能を同時に実現している。 有機CMOSイメージセンサは、有機薄膜と電荷蓄積部を金属配線で接続する構造であるため、蓄積電荷を完全に読み出すことができない。そのため、画素(信号電荷蓄積ノード)リセット時のリセットノイズの影響を受ける課題がある。さらに、8Kセンサのような多画素センサでは、ノイズキャンセル時に、垂直方向に並ぶ4000を超える画素の分の大きな負荷を一度に駆動する必要があり、ノイズ抑制に時間がかかるという課題があった。独自の半導体デバイス技術と、新たに開発した「画素内−容量結合型ノイズキャンセル回路」により、発生したリセットノイズを、多画素駆動時にも高速にキャンセル可能な構成を開発した。その結果、電流源以外の要素をすべて画素内に設けた負帰還ループを用いることで、画素ごとに、リセットノイズの抑制を高速に実現することができる。3.2 画素内−ゲイン切り替え技術 有機CMOSイメージセンサでは、配置自由度のある回路部に大容量の容量素子を搭載することで、同一画素構成を用いながら、カメラシステムからのスイッチ切り替えのみで、高感度モー3.3 電圧制御感度変調技術 有機CMOSイメージセンサは、有機薄膜へ加える電圧を制御するだけで、有機薄膜の感度を変更可能である。この機能を活用することで、従来のシリコンイメージセンサでは実現できなかった、以下のような機能を実現できる。(1)グローバルシャッタ機能 有機薄膜へ加える電圧をON/OFF制御し、有機薄膜の感度を制御することで、8Kセンサのような多画素駆動時でも、全画素同時撮像可能なGS機能を実現。GS機能を用いて撮像することで、図6に示すように、高速道路走行時のような、高速動体撮像時にも、歪みのない撮像が可能になる。(2)電子NDフィルタ技術(オプション) 有機薄膜へ加える電圧を制御し、有機薄膜の感度を所望の値に変更することで、従来、撮影条件により複数のNDフィルタを装備することが必要であったカメラ使用シーンにおいて、カメ図5 逆光での撮像比較(展示ブースで許可を得て筆者撮影)図4 高ダイナミックレンジ撮像例(展示ブースで許可を得て筆者撮影) 筆者撮影)118コンバーテック 2021. 12ExhibitionReport
元のページ ../index.html#95