コンバーティングテクノロジーセミナー2024(HYBRID)
紫外線硬化技術の基礎から
応用事例までを学ぶ
【開催日時】 2024年10月23日(水) 10:00〜16:45 【会場】 NLC新大阪8号館9階 903号室/Zoomウェビナー 【受講料】 1名様:44,000円(予稿集込み、税込)
<講師> <基礎メカニズム編> 岡村 晴之 氏 大阪公立大学大学院工学研究科 物質化学生命系専攻 応用化学分野 准教授
<応用事例編> 富樫 春久 氏 荒川化学工業 研究開発本部 機能性コーティング開発部
紫外線エネルギーにより、短時間で重合硬化する紫外線(UV)硬化樹脂。UV硬化樹脂は無溶剤で反応時間が数秒と高速でキュアリングができることから、CO2・VOC排出削減が可能。また架橋密度が高く、ハードコートなど機械的特性が高い塗膜が得られやすいことでも知られている。 一方、着色や厚膜などUVによる硬化が阻害されると、モノマーが残留してニオイや皮膚刺激、品質不良などの重大トラブルにつながる。このセミナーではUV硬化技術の基礎的な考え方を学び、最近の応用事例まで解説することで、現場で必要なUV硬化技術について学べるプログラムとなっている。
講演内容
<基礎メカニズム編>「光硬化樹脂の基礎と応用」 【講演時間】10:00〜12:00、13:00〜15:00
<岡村講師から>
硬化樹脂は熱硬化性樹脂と光硬化樹脂に大別される。硬化樹脂は主として熱硬化性樹脂であり、複合材料として航空機やボートなどに用いられるのみならず、回路基板などの電子材料としても用いられる。一方、光硬化樹脂は、光照射により、液状の前駆体から固体の硬化物へと変化するだけでなく、硬化物の物理的および化学的安定性が高いことから、塗膜、インキ、塗料等幅広い分野に用いられているだけではなく、光造形技術や光インプリント法に代表されるナノ加工技術にも展開されている。光硬化樹脂について考えるためには、光硬化樹脂に関連する物理と化学、特に一般的な光化学の概念を基礎としているが、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学を概説した後、それらを実際に光硬化樹脂に活用した幾つかの具体例を解説する。また、光硬化樹脂の反応と用途に対する分類とその応用について概説する。
1. 光硬化樹脂に関する光物理化学
1.1 光の波長とエネルギー
1.2 光の吸収
1.3 吸収スペクトルに対する溶媒効果
1.4 光物理過程
1.5 吸収スペクトルと蛍光スペクトル
1.6 エネルギー移動
1.7 光増感異性化
1.7 エキシマーとエキシプレックス
1.8 蛍光スイッチ
2. 高分子の光化学
2.1 ノリッシュタイプI反応とタイプII反応
2.2 ポリアクリラートとポリメタクリラートの光反応
2.3 ポリビニルケトンの光反応
2.4 光安定化
2.5 光フリース転移
3. 光重合とその応用
3.1 光源
3.2 ラジカル重合
3.3 ラジカル反応による光重合
3.4 光ラジカル開始剤
3.5 光増感
3.6 光カチオン重合
3.7 光酸発生剤
3.8 光重合の応用
3.8.1 光硬化性樹脂の分類と特徴
3.8.2 光造形
3.8.3 光インプリントリソグラフィー
<応用事例編>UV硬化型ハードコート剤の基本設計と応用事例 【講演時間】15:15〜16:45
<富樫講師から>
UV硬化型ハードコート剤は木材やプラスチック材料などに対して優れた耐擦傷性や各種機能を付与するために用いられている。特にフィルムコーティング分野では熱的ダメージが少ない上に硬化プロセスが短く、高生産性である事等のメリットを生かして使用が拡大している。本講演ではUV硬化型ハードコーティング剤の概要、設計の基本的な考え方について、材料およびプロセス面から解説する。また、近年ではUVハードコート対象部材の多様化に併せて新たな機能の要求又は機能の複合化が求められており、これらの要求に対する応用例についても併せて紹介する。
1.光硬化システム
1.1 光硬化システムと熱硬化システムの比較
1.2 光硬化システムの特徴と課題
2.光硬化型ハードコート剤の設計
2.1 反応性オリゴマー 合成方法・特徴・物性
2.2 反応性モノマー 合成方法・低PII化の方法・機能性付与
2.3 光重合開始剤 種類と特徴
3.UV硬化型ハードコート剤の高機能化、機能付与
3.1 高硬度化
3.2 低カール化
3.3 密着性
3.4 干渉縞低減
3.5 帯電防止性
3.6 屈折率調整
3.7 耐汚染性・耐指紋性付与
3.8 易加工性付与
3.9 塗料水系化
【岡村晴之 様 経歴】
1994年3月 京都大学工学部高分子化学科 卒業
1996年3月 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 修士課程修了
1998年11月 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 博士後期課程修了
京都大学博士(工学)を取得
1999年1月〜 大阪府立大学工学部 助手
2005年4月〜 大阪府立大学大学院工学研究科 助教
2009年8月〜2010年3月 アメリカ・コーネル大学 材料科学科 客員研究員
2011年10月〜 同 准教授
2022年4月〜 大阪公立大学大学院工学研究科 准教授
【専門分野】 光機能性高分子の合成
【受賞歴】
2008年10月 第32回合成樹脂工業協会賞学術奨励賞 受賞
2014年6月 Photopolymer Science and Technology Award 受賞
2017年10月 第41回合成樹脂工業協会賞学術賞 受賞
【富樫春久 様 経歴】
荒川化学工業株式会社 研究開発本部
機能性コーティング開発部 NC3グループリーダー
2004年3月名古屋工業大学大学院 工学研究科 物質工学専攻 修士課程修了
2004年4月荒川化学工業株式会社 入社
2007年よりUV硬化性樹脂(主に機能性ハードコート剤)の開発に従事
<注記>
●社内事情によりZOOMアプリをインストールできない場合でもブラウザだけでも受講できます(プラウザの種類、バージョンによる)。ZOOMの使用法、参加URLなど不明な点がありましたら事務局にお問い合わせください。
お申し込みページに進む
企画・運営:(株)加工技術研究会