アーカイブ情報

2025/1/17

【サーキュラーエコノミー】パナソニックと三菱マテリアル、廃プリント基板を活用した持続可能な「PMP(Product-Material-Product)ループ」促進。2024年12月時点で金1.1トン、銀33トン、銅8100トンを再資源化

 パナソニック くらしアプライアンス社(以下、パナソニック)と三菱マテリアルは、廃家電から発生する廃プリント基板から回収した金・銀・銅を、再びパナソニックグループを主体に活用する「PMP(Product-Material-Product)ループ」を共同で構築し、運用している。PMPループのように定常的な資源循環を実現したスキームは業界初(※1)であり、このスキームを通じて資源循環で活用された都市鉱山資源は、累計で金1.1トン、銀33トン、銅8100トンになった(※2)。
 世界的に金属資源の有効活用と環境保護が求められる中、特に天然資源の自給率が低い日本では、資源循環型のモノづくりの実践が強く求められている。経済産業省は持続可能な経済成長を実現するために「成長志向型の資源自律経済戦略」(※3)を策定し、資源の効率的利用とリサイクル促進による経済発展と環境保護の両立を目指している。また、環境省の「第五次循環型社会形成推進基本計画」(※4)では持続可能な循環型社会の構築を目指し、資源の循環利用や環境負荷の低減、地域社会との連携、教育・啓発活動を通じて廃棄物の削減やリサイクルを促進し、資源の有効活用による環境保全を図ることを目的としている。この計画においては、2030年度までに金属リサイクル原料の処理量を倍増させる方針を示している。
 パナソニックと三菱マテリアルは、全国の家電リサイクル工場や家電製品等の修理拠点から回収した廃プリント基板を製錬処理し、金・銀・銅を取り出して、再びパナソニックグループのモノづくり等に活用する非鉄金属の循環を実現している。2011年の開始以来、リサイクル原料の回収から再利用までのプロセスを一貫してマネジメントし、定常的な資源循環を実現している本スキームは、国が目指している姿の実現に寄与するものと考えられている。さらに、本スキームで回収した銅を例にとると、製錬の代替によるCO2削減量は累計で約3.3万トン(※2)となり、CO2削減にも寄与する取り組みとなっている。なお、本スキームで回収した銅は、資源循環型建築を目指す2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)パナソニックグループパビリオンの銅線原料にも活用されている。
 パナソニックと三菱マテリアルは、非鉄金属のリサイクルについて広く認知向上を図るとともに、PMPループの構築と運用を通じて得られた経験やノウハウを生かし、リサイクル原料の回収から再資源化を経て新たな製品に活用するまでの一気通貫の資源循環マネジメントの拡大に取り組む。さらに、今後は、多様なパートナーとの連携により、新たな対象品目でのスキーム構築を図り、サーキュラーエコノミーの進化、ならびにCO2排出量の削減に貢献していく。

PMPループのスキーム概要

PMPループのスキーム

 パナソニック傘下のパナソニックETソリューションズ(PETS)が、全国の家電リサイクル工場や家電製品等の修理拠点から回収した廃プリント基板の加工処理をパートナー企業に委託。破砕、製錬で不要となる鉄・アルミ資源を除去して品位を高めた状態で、三菱マテリアルに納入。三菱マテリアルは、製錬処理により廃プリント基板から金・銀・銅を取り出し、PETSに素材として返還。回収した金・銀・銅は、金メッキ液や銅線などに加工された状態で再びパナソニックグループのモノづくり等に活用する。これまでにPMPループによって廃プリント基板から回収した素材の総量は、金1.1トン、銀33トン、銅8100トンにおよぶ(※2)。

PMPループのスキームによるCO2削減効果
 PMPループは資源の循環利用だけでなく、金属資源を鉱石から製造する必要がないことから、CO2削減にも寄与する取り組みとなっている。例えば、これまでPMPループで回収した銅8100トンに対する製錬の代替によるCO2削減量は、累計で約3.3万トン(※2)となる。
※1 パナソニック・三菱マテリアル調べ、2025年1月17日時点
※2 2024年12月時点
※3 経済産業省「成長志向型の資源自律経済戦略」(概要)
※4 環境省「第五次循環型社会形成推進基本計画」(概要) 

カテゴリー
コンバーティングニュース

PAGE TOP