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2025/6/26

【三元系リチウムイオン電池】Eキューブドゴールズ、早稲田大学 小野田弘士研究室と「無力化・完全廃棄技術」を確立

　Eキューブドゴールズは、早稲田大学 大学院環境・エネルギー研究科 小野田弘士研究室と連携し、三元系リチウムイオン電池の無力化および安全かつ完全な廃棄を実現する画期的な技術を確立した。

 　電気自動車やスマートフォンなどに広く使われている三元系リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を持つ一方で、使用済みのものを安全に廃棄・処理することができないことが世界的な課題となっている。特に、内部に残存するエネルギーによる「暴発リスク」は、リサイクルや廃棄処理における大きな障壁であった。

　Eキューブドゴールズは、この世界的課題の解決を目指し、2024年初頭より研究を開始した。私たちは三元系リチウムイオン電池の特性に着目し、「冷却による無力化」というアプローチで実験を重ねてきた。

　その結果、2024年6月には最適な温度パラメーターを構築し、三元系リチウムイオン電池の安全な無力化を実現した。無力化された電池は、通常であれば爆発の危険がある「釘差し破壊」を行っても爆発することなく、安全に粉砕・溶解が可能であることを実証している。この成果を2025年3月に、早稲田大学 小野田弘士研究室との共同実証実験にて再現性を確認し、同技術の確立に至った。

　同技術とは、使用済三元系リチウムイオン電池の安全な回収、安全な輸送、安全な保管及び安全な廃棄処理のサプライチェーンの実現可能できることを指す。

　この技術では、使用済み電池を一定温度まで冷却した後にプレス破壊し、最終的に炉での溶解または粉砕処理を行う。これにより、暴発のリスクを排除し、低コストかつ安全な廃棄処理を実現する。この画期的な技術は、使用済みリチウムイオン電池の安全なリサイクル・廃棄に向けた社会実装を実現するものである。　

　Eキューブドゴールズは、この取り組みを日本から世界へ発信し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

技術の特長

　同技術は、以下の特長により、従来の廃棄処理の課題を解決し、持続可能な運用を可能にする。

工程構成： 冷却 → プレス破壊 → 完全廃棄というシンプルかつ安全なプロセス。

安全性： 破壊時に暴発を起こさず、作業者・施設・環境の安全を確保する。

低コスト： 既存設備を最大限活用できるため、導入ハードルを低減する。

運用モデル： 収集・運搬・保管・廃棄までを包括した、安全で実行可能なモデルを構築した。

背景と意義

　三元系リチウムイオン電池は、ノートPC、スマートフォン、電気自動車（EV）などに不可欠なエネルギー源ですが、世界中で年間数百万トン規模の廃棄電池が適切に処理されず、放置・埋め立てられているのが現状にある。埋め立てによる環境負荷は深刻であり、持続可能性への大きな課題となっている。

　これは、三元系電池が極めて危険な特性を持ち、廃棄処理中に3000度以上の高温を伴う爆発のリスクがあるため。現在、これに耐えうる処理炉（通常800度が限界）や産業廃棄施設は、世界中に存在しない。

　東京都では「リチウムイオン電池 捨てちゃダメ！」プロジェクトを展開し、「注意喚起ポスター」で都民に広く周知するなど、社会的な認識は高まっている。

　近年、三元系リチウムイオン電池に使用するレアメタル・レアアースのリサイクル技術のトライアルは広がりつつあるが、実際にリサイクルおよびアップサイクルされた三元系リチウムイオン電池がいまだ市場でみられることはない。これは、処理インフラ・コスト・技術的な課題が障壁となっているためである。さらに、コバルトなどの原材料は採掘過程において環境破壊や児童労働問題など倫理的な問題も孕んでおり、「安全な廃棄技術」への注目が世界的に高まっている。

実証の時系列

[着想2023年]⇒[実証実験2024年6月]⇒[実証実験再現2025年3月]⇒[技術の確立]⇒[本発表に至る]

サステナビリティへの貢献

　同社は、同技術は「リサイクルを前提としない」廃棄処理を可能にする点において、従来のリサイクルベースの発想とは一線を画し、持続可能な電池社会の実現に新たな道を拓くものであるとしている。

　同社は2025年4月4日、同技術に関する日本および世界特許を出願済み。将来的にはオープンソース化を視野に入れ、各国・地域の行政・産業・研究機関との連携を通じて、グローバルな社会実装を推進する計画だ。

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