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2025/2/27
【半導体】日立、10nm以下の微小欠陥を高感度に検出する技術開発
日立は、半導体製造プロセスにおける10nm(*1)以下の微小欠陥を高感度に検査する新たな画像処理技術を開発した。この技術は機械学習(*2)を活用し、高感度な欠陥検出と回路レイアウトに応じた検出感度の調整により、極めて小さな欠陥を効率的に検査する。この技術により、半導体業界における品質管理と生産効率の向上に貢献する。
なお、開発した技術の詳細は、2025年2月27日まで開催しているSPIE Advanced Lithography + Patterning 2025で発表されている。
■背景および課題
高性能な半導体デバイスの需要が増加する中、半導体製造業界では製造プロセスにおける品質管理の重要性が増している。特に、デバイスの信頼性と生産効率に直接影響を与える欠陥のサイズも微小になっているため、欠陥検査の高感度化が求められている。
■技術の特長
今回、日立は、日立ハイテクの協力のもと、これまでに培ってきた画像処理、機械学習、データサイエンスなどの知識を活用し、以下の特長を持つ半導体製造向けの欠陥検査技術を開発した(図1)。
機械学習を用いた高感度な欠陥検出技術
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮像した画像から微小欠陥を検出する技術を開発し、評価用サンプルに含まれる10nm以下の欠陥を高感度に検出可能なことを確認した。この技術は、事前学習ステップとして、良品の画像にノイズを加えた劣化画像のデータを多数生成し、そこから良品画像の再構成に有効なデータの特徴を機械学習します。実際の検査時には、欠陥を含む画像から良品画像を自動で再構成し、再構成前後の画像を比較することにより数画素程度の微小な欠陥を高感度に検出する。
回路レイアウトに応じた検出感度調整による過検出(*3)の抑制
検出すべき⽋陥サイズの微⼩化に伴い製造ばらつき(⾮⽋陥)との判別が困難となり、過検出の抑制が課題となる。そこで、回路パターンのレイアウトを機械学習を⽤いて分類する技術を開発した。レイアウトに応じた 検出感度調整を⾏うことで、特定の回路パターン上で⽣じる過検出を低減する。これにより、製造ばらつきと⽋ 陥の正確な判別が可能となり、過検出を90%以上(*4)抑制した。
■今後の展望
この技術により、⽇⽴は半導体製造業界における品質管理と⽣産効率の向上に寄与し、⾼性能デバイスの安定供給を⽀援する。⽇⽴は製造業界のデジタル化・DX化の進展に貢献するために、今後も⽋陥検査をはじめとした画像処理技術の⾼度化を進めていく。
*1 10億分の1メートル、1mmの100万分の1。
*2 アルゴリズムを使い特定分野の⼤量のデータを解析することで、その中に規則性や関係性を⾒つけ出す⼿法。
*3 正常箇所を検査装置が不良と判定すること。
*4 評価⽤サンプルを⽤いた評価における数値
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