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2025/10/1

【食品製造業のDX】日本包装機械工業会、味の素など6社と「生産設備データ標準化コンソーシアム」設立

 味の素味の素食品カルビーサントリーホールディングスハウス食品明治および食品関連機械の業界団体である日本包装機械工業会は、2025年7月に「生産設備データ標準化コンソーシアム」を設立した。
 同コンソーシアムは、食品製造業の生産設備が持つ多様なデータを収集・利活用することにより「製造DX」を推進し、食品製造業の生産性向上や品質向上に活かすために、生産設備データに関する標準規格の策定を目指す。食品製造業のなかでも比較的共通性が高い包装工程をターゲットに、国際的に広く使われている規格をベースに、主にデータ仕様と通信方式の標準化を検討していく。 
 標準規格が普及することにより、専門知識がなくてもデータ利活用が容易になり、中小企業でも低コストで生産性向上や品質向上に取り組めることを期待している。
 具体的には予防保全・品質管理・稼働率の向上など、製造プロセスの高度化やスマートファクトリー化に展開させることで、食品業界全体のDX推進や競争力強化にもつながると考え、農林水産省など関連省庁とも連携しながら、標準規格の普及を目指す。

食品製造業におけるデータ利活用の課題と目指す姿
【課題】
⚫ 食品製造業における生産設備データの標準規格がなく、機械メーカーのデータ仕様・制御プログラムなどは各社各様。また、食品メーカーの要求仕様も各社各様のため、機械メーカーは、食品メーカー各社向けのプログラムをオリジナルで開発する傾向にある。
⚫ 結果、多種多様なプログラムとデータ仕様が存在し、食品メーカーは、各設備のデータ仕様・プログラムの対応が求められ、データ収集・活用に掛かるコスト/労力が増大し、機械メーカーも開発効率化が課題となっている。
⚫ また、データ通信方法も共通化されておらず、複数の通信仕様を把握・理解し、それぞれの通信仕様に対応する知識、技術が必要。

【目指す姿】
⚫ 食品メーカーは標準化された仕様を要求し、機械メーカーから提供されるデータ仕様・プログラムが共通化されることにより、食品メーカーの対応も共通化される。データ利活用の実現に向けた活動が大幅に効率化され、安価に専門的な知識がなくても生産性向上や品質向上に着手可能。機械メーカーも標準化により開発効率が向上する。
⚫ 生産設備データの収集方法が標準化されることで、大手食品メーカーに留まることなく、中小企業にもデータ利活用が促進される。それにより、食品業界全体の生産性向上・品質向上に寄与し、消費者に幅広く安心・安全な製品を届けることにつながる。

主な活動概要
⚫ 生産設備データの標準化(通信規格、データ仕様)、食品製造業と食品関連機械製造業間の合意形成
⚫ 標準規格による生産設備データ利活用の検証(含むモデル実証)、ガイドブック作成
⚫ 上記ガイドブックの活用および標準化の普及の促進
⚫ 農林水産省をはじめとした関係官庁との情報連携・提言

参画企業・団体(2025年7月現在) ※五十音順、敬称略
味の素
味の素食品
カルビー
サントリーホールディングス
ハウス食品
明治
日本包装機械工業会
アビームコンサルティング(事務局)

代表
味の素 食品事業本部 食品生産統括センター長 宇田 茂平


【日本包装機械工業会からのコメント】

「本コンソーシアムへの参画は、当工業会が2025年5月に正式発表いたしましたJPack-Fmt(包装システムにおけるIoT標準化指針)の戦略的展開における重要なマイルストーンであり、業界横断の標準化を推進する取り組みと位置づけております。
 JPack-Fmtは『つながるだけでなく、活用するための共通言語』をコンセプトに、ユーザーの業界のニーズも踏まえて包装機械業界でのデータ標準化を目指して策定いたしました。現在業界全体への普及活動を積極的に推進している段階にあります。
 本コンソーシアムが目指す食品製造業の生産設備データ標準化と JPack-Fmt の方向性は、包装工程における『異なるメーカー間でのデータ連携』という核心的な理念を共有しております。JPack-Fmtの技術基盤を活用することで、包装工程を含む食品製造ライン全体での効率的なデータ活用が実現し、特に中小企業の皆様のIoT導入を力強く促進し、その普及を加速できるものと確信しております。
 JPack-Fmt が、コンソーシアム標準規格の基盤を為すことで、食品製造業全体のDX推進と包装機械業界の技術革新に貢献し、日本のものづくり産業の国際競争力強化という未来志向の取り組みを力強く推進してまいります」

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