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2025/7/11
【農業】BASFと雲天化、安定化尿素肥料の使用による温室効果ガス排出削減の検証と登録に成功
•尿素肥料に尿素分解酵素(ウレアーゼ)阻害剤「Limus(R)」を使用することで、CO2換算で4万6000トン以上の排出量を削減
•排出削減量は国際的なカーボンアカウンティング基準に基づき、独立機関が検証
•初のパイロット試験の成功により、雲天化との継続的な排出削減モニタリングとグローバル展開の可能性が拓かれた

2023年、BASFと中国の肥料メーカーである雲南雲天化股份有限公司(以下:雲天化、本社:中国雲南省昆明市)は、中国において、BASFのウレアーゼ阻害剤Limus(R)を含む雲天化の安定化尿素肥料の使用によるCO2換算排出量(CO2e)の削減を検証するためのパイロットプロジェクトを開始した。
パイロットでは、Limus(R)処理肥料を使用した場合、未処理肥料と比較して約4万6584トンのCO2e排出量を削減できたことが確認された。この推定値は、パイロット期間中における雲天化のLimus(R)安定化尿素の販売量に基づいている。この結果は、中国における気候変動に配慮した農業の取り組みに貢献するだけでなく、世界的な展開の可能性を示す成功事例となった。
尿素肥料に含まれる窒素の約15%はアンモニア[1]として大気中に放出され、大気質や生物多様性に悪影響を及ぼす。また、窒素は一酸化二窒素として温室効果ガスとなり、大気中に放出される。環境への悪影響だけでなく、作物が最も必要とする時期に利用可能な窒素が減少するため、農業者は経済的損失や収量・品質の低下といった影響も受ける。同プロジェクトにより、尿素肥料にLimus(R)ウレアーゼ阻害剤を施用することで尿素が安定化し、未処理の標準肥料に比べてアンモニアと一酸化二窒素の放出を抑えられることが実証された。雲天化は気候変動に配慮した農業の取り組みの一環として、農業者、流通業者、小売業者向けに現地で実証試験を実施し、安定化尿素のこれらの利点を紹介している。
同プロジェクトは、国際規格であるISO 14064に基づき、独立した監査機関により検証されている。温室効果ガスのインベントリ作成および報告にISO 14064規格を適用し、温室効果ガスの削減または除去を目的とするプロジェクトを掲載する公開データベース「GHG CleanProjects(R) Registry [2]」に登録された。また、BASFはカーボンマネジメントとサステナビリティのリーディング企業であるFirst Climate社と連携し、中国における本パイロットプロジェクトの設計とモニタリングを行った。
BASF窒素マネジメントビジネスリードであるマルクス・シュミット氏は次のように述べています。
「雲天化と共に、排出削減を検証するこの気候変動に配慮した農業(クライメート・スマート・アグリカルチャー)の取り組みが実行可能であること、そして気候変動の中で農業が果たすべき重要な役割を証明しました。現在、第2回目のモニタリングが進行中であり、フードバリューチェーンのパートナーへの展開に向けた土台を作っています」
雲南雲天化農資連鎖有限公司のゼネラルマネージャーであるチェン・ジン氏は次のように述べている。
「Limus(R)は非常に革新的な製品であり、尿素の施用量を削減しつつ、肥料の効率と作物の収量を向上させ、環境への窒素損失を大幅に低減することが実証されています。これは、肥料業界、農業者、社会にとって三方良しのソリューションです。BASFとの気候変動に配慮した農業の取り組みを継続することで、農業の近代化と持続可能な農業に向けた革新的な解決策を追求するという当社の戦略目標の実現を後押ししています」
2024年のカレンダーイヤーにおけるLimus(R)処理済み肥料によるCO2eの削減を再度検証するため、BASFは、堅牢かつスケーラブルなモニタリング手法の構築などパイロットプロジェクトで得られた知見をもとに、雲天化と共に第2回目のモニタリングを実施している。またBASFは、他国の肥料メーカーとの同様の取り組みの可能性も模索している。この取り組みを通じて、農業バリューチェーンにおける上流の肥料生産者が、気候変動に配慮した農業の取り組みに参加し、安定化窒素肥料の使用による排出削減を検証・取得し、自らのカーボンフットプリントを削減できることを目指す。
[1] Pan et al. 2016: Ammonia volatilization from synthetic fertilizers and its mitigation strategies: A global synthesis, Agriculture, Ecosystems and Environment 232, 283~289ページ
[2] GHG CleanProjects(R) Registry
https://www.csaregistries.ca/GHG_VR_Listing/CleanProjectDetail?ProjectId=1128
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