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2025/3/18

【Printing】山藤三陽印刷、自動化で競争力を高め、効率的で安定した生産体制を築く。プリネクトワークフローでポーラー全自動断裁システムPACEの効果引き出す

 1896年創業から128年にわたり、心に響くものづくりの精神で顧客の要望と真摯に向き合い、印刷を主軸とする製品・サービスの発展を今も継続している山藤三陽印刷(本社:北海道札幌市 代表取締役社長 松岡孝幸氏)の吉田政則製造本部長は、「社員一人ひとりが適切な意思決定と自発的行動に導くコンプライアンス教育、情報管理、環境対策に力を入れ、快適な職場づくりに取り組んでいます。社会からの信頼と職場への誇りを原動力に、全社一体となって、お客さまに喜ばれるワンランク上のサービス、新たな価値創造、それを生み出す人間力に磨きをかけています」と、同社の理念を語る。
 山藤三陽印刷が将来を見据えて、今、全社を挙げて取り組んでいるのが受注、製造、そして顧客の手元に届くまでの物流に至るまでの自動化への取り組み。特に断裁工程での自動化の取り組みは生産効率が上がり、品質の均一化と安定性、コスト削減、さらには従業員の安全性や労働力不足への対応など、得られるメリットは大きいという。

2022年に導入したポーラー全自動断裁システム PACEの前にて、山藤三陽印刷 執行役員 製造本部長 吉田政則氏

 同社では、ポーラー全自動断裁システムPACEの導入効果をさらに引き出すため、長年にわたり使用してきたワークフローをプリネクトに移行した。そのことにより、プリネクトワークフローと自動断裁PACEの連携の効果を実感することができた。

ワークフローの刷新が会社組織全体の生産性を高め、ジョブ処理数が5倍に
 従来導入していたワークフローは工程ごとに細切れの状態で、工程間での情報共有がスムーズに行われず、同社が目指すところの業務の効率化や透明性、時間の節約などに課題があった。今回、製造現場の基幹システムとなるワークフローをプリネクトに入れ替えることで、「将来的に入稿から出荷までの一連の工程をプリネクトで担えると判断し導入に至った」 と、その決断には自社のあるべき姿をイメージしていたと、その決意を述べている。プリネクトの導入に際し、製造第1部プリプレス課の末永喜美課長は、「自動化を目指すためにはプリネクトは重要なツールであり、生産管理の負担軽減へのメリットも大きい」と言う。導入にあたっては従業員向けのマニュアルを自ら作成するなど苦労はあったが、現在ではプリプレス部門の努力もあり、当初の目標である効率化が図られていると言う。「プリネクトへの移行が順調にすすんだことや自動面付機能によって、ある月のジョブ数は前々月の5倍までに作業効率が向上しています」。

前工程と後工程をさらに連動することで製造現場のさらなる効率化を図っていくと語る、プリプレス課 課長の末永喜美氏

製本現場の負担軽減と生産効率の向上のために
 製本現場の従業員の身体的な負担軽減と断裁工程の効率化を目指す吉田本部長は、断裁工程での作業は、用紙は非常に重く8時間労働していると朝の作業で捌く量より、夕方の捌く量が大幅に少なくなり、大口の物件になると必然的に残業となる。残業になっても体力が無く余計な時間外が増えてしまい悪循環の繰り返しであったが、「PACEを導入したことで、残業時間が大幅に軽減されオペレータの帰りの挨拶で笑顔が増えました」と、前年比約50%の時間外削減という数字も含めポーラー断裁システムPACEの効果を語る。さらに「PACEシステムは絶妙に人間の動きに合わせているように見えます。オペレータに負担をかけない絶妙なタイミングの取り方が、人間の動きを研究したプログラムをインプットされたロボットのような動きです」と付け加える。

プリネクトワークフローとの連携でさらなる効果
 印刷工程では同社が目指すところのカラーマネジメントへの評価も高い。「プリネクトカラーツールボックスによりカラーチャートを作成し、それを印刷し測定することで自動的にキャリブレーションカーブができます。これにより印刷品質が安定します」と、末永課長は評価する。さらに、断裁工程では実際の用紙を基に指定寸法を断裁機に直接プログラミングして作業を行うのが一般的でしたが、断裁機に搭載されたコンピュカットソフトウェアにより、断裁作業の最適化を実現した。プリネクトは面付データ(PPFデータもしくはJDFデータ)を断裁機に転送し、コンピュカットソフトウェアを使い、PACEに必要な断裁プログラムを作成することが可能になり、作業時間の削減を始め、熟練の断裁オペレータでなくても作業ができるようになった。
 これにより、従業員の断裁データの入力ミスが大幅に削減されるとともに、品質に大きく影響する断裁作業は従業員にとっても精神的なストレスがなくなり、スムーズな作業が実現された。これはプリネクトワークフローとPACEの連携の効果である。

すべては完全自動化のために
 吉田本部長は製本の作業はすべて自動化にすべきと言う。将来的な人員不足、危険なリスクを伴う製造業は機械ができることは機械に、そして人にしかできないことは人が行うこと。完全自動化があくまで理想と語る吉田本部長は、「数年後に社内通路はAGVが製品を次工程へ運搬している姿、各製造機器にロボットが付いて作業しているという姿を日々想像しています。PACE断裁システムは、その理想の第一歩であり、今後プリネクトは各工程ロボットの司令塔となると思います」と、締めくくった。

ポーラー自動断裁システムPACEの導入もプリネクトワークフローの導入も、すべては自社のあるべき姿を実現するためと語る吉田本部長
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