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2025/6/25
【UHF帯RFIDタグ】TOPPANエッジ、テルモと共同でプレフィルドシリンジ向け開発
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANエッジは、テルモと共同で、プレフィルドシリンジ※1向けUHF帯RFID※2タグを開発した。第一弾として、テルモが販売するRFIDタグを搭載したニトログリセリン※3静注25mg/50mLに活用される。
今回開発したUHF帯RFIDタグが貼付されたプレフィルドシリンジを、RFIDで薬剤の情報を認識できる機能を備えた専用のシリンジポンプ※4にセットすることで、シリンジに取り付けられたRFIDタグを自動的に読み取ることができる。同RFIDタグは独自のアンテナ設計技術により、製剤やシリンジの向きに影響を受けず正確に読み取れる他、シリンジポンプが上下に多数配置された状態でも対象のシリンジのみを読み取りを実現する。RFIDタグによる認証を通じて、医療現場の誤投薬の防止と投薬業務の負荷軽減に貢献する。
TOPPANエッジは、今後もテルモのICタグ付きプレフィルドシリンジのラインアップ拡大に合わせて、今回2社共同で開発したRFIDタグを製造、供給していく。

テルモのニトログリセリン静注25mg/50mL
背景
医療現場において、プレフィルドシリンジ製剤を投与する際、薬剤の誤投与を防ぐため、医師の指示をもとに、看護師が自身のIDと、患者ID、処方IDを確認する3点認証を実施している。従来、投薬情報の確認・登録は人手で実施していたが、迅速な対応を求められる医療現場においては、薬剤の取り違えのリスクや医療従事者の業務負荷の高さが課題となっている。
このような課題に対し、TOPPANエッジはテルモと共同で、プレフィルドシリンジ向けのUHF帯RFIDタグを開発した。専用のシリンジポンプにセットして、RFIDタグを自動的に読み取り、誤投薬の防止と投薬業務の負荷軽減に貢献が可能。これまでに医薬品向けの専用RFIDタグの開発・供給で培ったRFIDタグの設計、開発、生産基盤の強みを活かし、薬剤やタグの方向に左右されず、誤読することなく読み取り可能なラベルタイプのRFIDタグを設計・製造した。
プレフィルドシリンジ向けUHF帯RFIDタグの特長
(1)プレフィルドシリンジ向けの小型のRFIDタグ
プレフィルドシリンジは、充填されている薬剤の容量に合わせて大小さまざまなサイズがある。容量の小さなシリンジにも対応する小型のRFIDタグを独自に設計した。
(2)プレフィルドシリンジの向きを問わず読み取りが可能
専用のシリンジポンプにセットする際、取り付けられたRFIDタグはUHF帯であるため、その向きに関わらず正確に読み取りが可能。医療従事者は従来の運用を変えることなく作業することができる。
(3)プレフィルドシリンジが複数セットされた状態でも読み取りが可能
専用のシリンジポンプは、上下に多数配置されて利用される場合がある。そのような、複数のプレフィルドシリンジが同時にセットされている場合でもあっても、別のシリンジのRFIDを誤読することがないようなRFIDタグの交信距離が得られる性能設計とすることで、個々のシリンジポンプで適切にRFIDタグを読み取ることができる。
(4)独自のアンテナ設計により薬品の影響を受けずに読み取りが可能
UHF帯RFIDタグは、液体容器などに取り付けられた場合において通信特性が大きく影響を受け、適切に読み取りができないのが一般的。本製品は独自のアンテナ設計技術により、薬剤が中に注入されているシリンジに直接取り付けられた状態であっても安定した読み取りが可能。
今後の展開
TOPPANエッジは今後も、医療・医薬分野でのRFIDタグの普及に貢献し、医療現場のDX化による、医療安全や医療従事者の負担軽減に寄与する。
※1 プレフィルドシリンジ:あらかじめ薬液が充填されたシリンジ(注射器の外筒)。
※2 RFID(Radio Frequency Identification):電磁界や電波などの無線通信を用いて、ICタグなどの情報を非接触で読み書きする自動認識技術。
※3 ニトログリセリン:手術時の低血圧維持、手術時の異常高血圧の救急処置、急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)や
不安定狭心症の治療に使われる薬剤。手術中、または治療において血圧を下げるために使用され、周術期に多く用いられる。
※4 シリンジポンプ:薬液を精密に注入するために使用される医療機器。薬液が充填されたシリンジをセットし、モーターでプランジャー(押し子)を押し出すことで正確な投与を行う。特に少量かつ高濃度の薬液を一定速度で持続的に注入する必要がある場合に利用される。
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