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2024/12/13
【アクチュエータ、センサー】東レ、高誘電率を有する高復元性の伸縮性フィルムを創出
東レは、高い復元性を有する伸縮性フィルム「REACTIS(リアクティス)®」の技術を深化し、高誘電率と高い復元性を備えた伸縮性フィルムを創出した。
この開発品は、ロボットの駆動に用いるアクチュエータやセンサーの軽量化・省エネ化に貢献する他に、3次元曲面に設置可能な柔軟センサーや環境発電用素子などへの展開が期待できる。サンプル供給を開始することで、早期の実用化を目指す。
近年、医療・介護や食品製造などの分野で、人と接触・協調して作業できるロボットが求められているが、従来のロボットは多数のセンサーと複雑な制御を必要とする。これに対し、安全で自律的な動作ができるソフトロボットが注目され、その有望な動力源として、誘電エラストマーアクチュエータが検討されている。
誘電エラストマーアクチュエータ*は、伸縮性を有する誘電体フィルムと、両面に形成された電極からなり、電極間に電圧をかけると、フィルムの誘電率に比例した圧縮力が発生し、アクチュエータが変形することで、出力になる。
この誘電体フィルムには、現状、シリコーンやアクリルなどのエラストマーが用いられている。しかし、実用化に必要な大出力化にはフィルムの高誘電率化が、応答性には高復元性が必要なのに対し、現行材料はこれらがトレードオフの関係にあり、新たな素材の開発が求められていた。
東レでは、現在、柔軟で復元性のよい伸縮性フィルムREACTIS®を販売しており、幅広い用途で採用されている。今回、このREACTIS®をベースに技術深化させた結果、復元率100%を維持しつつ、従来のエラストマーの2倍以上の高誘電率(比誘電率12)を実現した。この開発品を用いた誘電エラストマーアクチュエータは、従来のシリコーンフィルムを用いたアクチュエータに対し、4倍以上の大出力となることを実証している。また、ハロゲンなどの環境に影響を及ぼす恐れのある素材や無機粒子を含まずに、高誘電率を達成している。
今回の開発品を、誘電エラストマーアクチュエータに適用することで、ソフトロボットの応答性向上が期待でき、健康、医療、産業分野において、人々の生活を向上する様々な用途への展開が期待できる。また、静電容量方式のセンサーの誘電体に適用することで、3次元曲面上や大きな変形量の計測が可能な柔軟センサーへの適用可能性もある。
※誘電エラストマーアクチュエータ
正と負の電荷が引きつけ合う静電力を利用して、電気エネルギーを、運動エネルギーに変換するデバイス
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