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2026/4/2
【エポキシ樹脂系絶縁塗料】住友ベークライト、高耐トラッキング性エポキシ樹脂粉体塗料を開発
住友ベークライトは、耐トラッキング性※1 の高い電気絶縁用の粉体塗料を開発した。同材料は、比較トラッキング指数 (CTI)※2 900Vを有しており、バスバー等の高電圧が掛かる導体の絶縁被覆に適した無溶剤型のエポキシ樹脂系絶縁塗料。
※1 耐トラッキング性:絶縁物の表面に起きる放電により電気の通り道である導電路 (トラック) が形成され、配線間でショート (絶縁破壊) する「トラッキング現象」に対する抵抗力を指す
※2 比較トラッキング指数 (CTI):絶縁材料の耐トラッキング性を評価するための標準化された指標。CTIが高いほど耐トラッキング性が優れているとされる
EVの航続距離を延長し充電時間を短縮するため、特に欧米ではEVの電気システム (受電側、給電側) の800V化が進んでいる。EV以外でも高出力および軽量化を目的とし、eVTOL※3 や電動車両等の移動体では高電圧化が進むと考えられている。その他にも産業機械、洋上風力発電船、太陽光発電連携インバータ、大規模蓄電池システム等でも1kV級のアプリケーションが拡大している。
このように高電圧の製品が増加することが見込まれており、長期信頼性や安全性確保のために、従来よりも高いレベルの耐トラッキング性が導体の絶縁被覆に求められると予測される。同社では、これらのニーズに対応するべく、CTI 900Vの性能を有するエポキシ樹脂粉体塗料を開発した。
※3 eVTOL:「Electric Vertical Take-Off and Landing」の略で、電動で垂直に離着陸が出来る航空機を示す
高耐トラッキング性エポキシ樹脂粉体塗料の特長

一般的に導体表面に絶縁性を付与する目的には、液状塗料に加え粉体塗料が広く使われている。環境保護や形状安定性・生産性の観点から、無溶剤型の粉体塗料は液状塗料に比べて優れている。また、粉体塗料の中でも熱可塑性樹脂をベースにしたものは被覆する導体と塗膜の間で接着力が発生しないため、使用環境での絶縁性低下のリスクが伴う。一方、同社の粉体塗料は熱硬化型のエポキシ樹脂をベースにしたもので、被覆工程において導体との間で反応が起こるため、しっかりとした接着力が発現し絶縁性能への信頼度が向上する。
通常、エポキシ樹脂粉体塗料の塗膜としての絶縁破壊電圧は30~40kV/mmと非常に高いレベルにあるが、絶縁耐久性の指標の1つであるCTIは一般的に300~600V程度。

これに対し、同製品では耐トラッキング性のUL規格であるUL2597のSTT※4 試験に準拠し、同社にてエポキシ樹脂粉体塗料開発品のCTI実力を測定した結果、同開発品はCTI900Vを達成しており、高電圧化のトレンドに対応できる性能を備えていることを確認している(図1参照)。
※4 STT試験:表面トラッキング試験 (Surface Tracking Test) を示し、600Vを超える電圧で使用される絶縁材料の耐トラッキング性を評価するための試験規格
製品は、900Vでの通電状態における経年使用でも絶縁性能が低下するリスクが少ないため、導体間の沿面距離を短縮でき、電気システムや電気部品の小型化、高効率化に寄与する。さらに、金型不要で様々な形状の導体表面に薄く絶縁塗装することが可能。
近年、欧米を中心にEVのシステム電圧が800V化する動きが進んでおり、高耐トラッキング性能へのニーズが高まっている。同製品の用途として、まずはEVのバッテリーバスバー等を想定していくが、高耐トラッキング性能のニーズが求められる他用途への参入も目指していく。
同製品はCTI900Vの実力を有する事が確認されており、まもなくサンプル供試を開始する予定。今後はEVのみならず、ドローンや風力発電機のモーターに使用されるバスバー・バスリングという幅広い用途でのニーズに応える商品開発にも注力していく。
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