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2025/11/21
【カーボンニュートラル】INPEX、NEDO事業で国内初、ブルー水素、ブルーアンモニア製造実証設備開所
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助事業である「燃料アンモニア利用・生産技術開発/ブルーアンモニア製造に係る技術開発」の支援のもと、INPEXは新潟県柏崎市に国内初となるブルー水素、ブルーアンモニア製造実証設備を建設した。この設備を含む一連の施設を「柏崎水素パーク」と総称し、2025年11月21日、開所式を執り行った。
本事業は、製造時に発生する二酸化炭素(CO2)を分離・回収して大気への排出を抑えたブルー水素とブルーアンモニアを、その製造から利用まで一貫して行う、国内初の実証プロジェクトである。
NEDOは、本事業を通じて、電力、熱需要といった産業分野での低炭素化の課題解決に取り組み、2050年のカーボンニュートラルの達成に貢献する。


背景
2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」において、脱炭素化が難しい(Hard to Abate)分野での活用が期待される燃料として水素とアンモニアが挙げられており、その利用拡大の重要性が高まっている。アンモニアは主に水素を原料に製造され、これまで肥料、化学品、発電所での脱硝用などに利用されてきたが、燃焼時にCO2を排出しないため、近年では発電所や工業炉などで利用するCO2フリーの燃料としても期待されている。一方で、水素とアンモニアは主に天然ガスなどの化石燃料を原料として製造されており、製造時にCO2が発生するため、製造プロセスの脱炭素化が求められている。
このような背景の下、NEDOとINPEXは本事業※1で、低炭素化した燃料アンモニアの製造技術の開発を進めており、新潟県柏崎市にブルー水素※2、ブルーアンモニア※3製造実証設備を建設した。そしてこの設備を含む一連の施設を「柏崎水素パーク」と総称し、2025年11月21日、開所式を行った。製造時に発生するCO2を分離・回収して大気への排出を抑えたブルー水素やブルーアンモニアを、その製造から利用まで一貫して行う実証プロジェクトは国内初のこととなる。
実証試験の概要
本事業では、INPEXが保有する南長岡ガス田から東柏崎ガス田に既設のパイプラインを通じて天然ガスを輸送し、水素とアンモニアを製造するとともに、水素製造に伴って発生したCO2を分離・回収し、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田の地中貯留層へ圧入する。天然ガスを原料とした水素とアンモニアの製造ならびにCO2の分離・回収を組み合わせたプロセスを構築・運転することで、ブルー水素とブルーアンモニアの製造技術の実証を行う。
なお、回収されたCO2の地中貯留の実施と評価については、INPEXおよびエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の共同研究「天然ガス利用等における低炭素化を目的とした国内枯渇油ガス田を活用したCO2貯留可能量把握に関する実証試験」として実施している。

今後の予定
NEDOは本事業を通じて、天然ガスを原料とした水素とアンモニアの製造ならびにCO2の分離・回収を組み合わせた一連のプロセスの技術実証を支援し、2050年のカーボンニュートラルの達成に貢献するとともに、日本の燃料アンモニアサプライチェーンの構築に貢献する。
※1 本事業
事業名:燃料アンモニア利用・生産技術開発
事業期間:2021年度~2025年度
事業概要:燃料アンモニア利用・生産技術開発
※2 ブルー水素
天然ガスや石炭などの化石燃料を改質して水素を製造するとともに、副次的に発生するCO2を分離・回収することによって大気排出を抑えた、実質的にカーボンニュートラルとしてみなせる水素のこと。
※3 ブルーアンモニア
ブルー水素を用いて製造されたアンモニアのこと。
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