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2024/2/28

【ガスクロマトグラフ】島津製作所、米Activated Researchからマイクロリアクター事業買収

 島津製作所は、Activated Research Company, LLC(米国ミネソタ州、以下ARC)からガスクロマトグラフ(GC)用触媒マイクロリアクター(以下、マイクロリアクター)事業を買収した。
 グリーントランスフォーメーション(GX)領域では、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)に向けた水素やバイオ燃料などの新エネルギーへのシフトや、二酸化炭素(CO2)の回収や活用の研究が進んでおり、これらの成分を評価・分析するためのGCの需要が増加している。GX領域における新技術の研究では、測定対象成分に応じた複数の検出器が用いられ、GCシステムの装置構成が複雑になる傾向がある。また、無機ガス類の高感度分析に使用される専用の検出器では、供給が不安定かつ高価なヘリウムガスが必要という課題もあった。マイクロリアクターは、汎用的なGC検出器(FID)では感度が得られにくいCO2等の成分に対し、メタン(CH4)化などの化学反応を実現する小型の触媒反応器。FIDとの組み合わせにより、分析の高感度化や装置の簡素化、運転コストの低減を容易に実現する。
 ARCは、GC用の触媒マイクロリアクターの優れた技術力と製造ノウハウを持つ、北米の研究開発型スタートアップで、島津製作所とは2016年以来取引関係にある。島津製作所は、本買収により、ARCからマイクロリアクター2製品(JetanizerおよびPolyarc)の関連特許、製造ノウハウ、既存顧客への販売権を含む事業に関連する資産を譲り受け、2024年春以降の販売開始、2025年以降の2製品の完全内製化を目指す。JetanizerはFID内部に導入可能なサイズのマイクロリアクターで、例えば従来2種類の検出器が必要だったCO2やCH4などの温室効果ガスの分析がFIDのみの装置構成で一斉分析が可能となり、さらにヘリウムガスを使用することなく対応できるようになる。また、Polyarcは、Jetanizerの特長に加え、脂肪酸メチルエステル・含酸素成分等のバイオ燃料中の成分やクリーンな化学原料として利用が期待されているギ酸をFIDで高感度かつ高精度に定量可能とするマイクロリアクター。

Jetanizer(左:製品写真、右:FID内部のジェット部に搭載される)
Polyarc(左:GCへの搭載例、手前がPolyarc、右:各ユニットとの接続図)

 島津製作所は今回の事業買収により、マイクロリアクターの製造拡大と品質安定化を実現して、GCとマイクロリアクターを組み合わせたGCシステムのラインナップ強化や総合的なアフターサポートの提供を進める。特にGX領域での研究に取り組んでいる顧客に対して、同社グループの販路を活用してグローバルな製品・サービスを提供する。また、マイクロリアクターを用いた分析法の市場導入を進めていく活動の一例として、世界最大規模の業界規格化団体である米国試験材料協会(ASTM International)での分析規格化を推進する。これらの活動を通して、様々な企業との協業や技術の獲得を進め、中期経営計画で注力するGX領域における販売拡大につなげる。

左端がARC CEO Dr. Andrew Jones 、左から2番目が島津製作所GCプロダクトマネージャー武知亮
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