微細凹凸技術は、ガラス表面にナノメートル単位の微細な凹凸を均一に形成する独自加工技術。これにより、対象物との接触面積や接触割合を設計し、ガラスの摩擦特性や表面機能を自在に制御することができる。

　タブレットや液晶ペンタブレットは、クリエイティブ分野からビジネスまで幅広く利用されているが、従来のガラス画面はペン先が滑りやすく、紙のような自然な書き心地を再現できないという課題があった。専用フィルムも利用されているが、透明性や耐久性に劣るほか、ペン先が削れやすいといった問題がある。

　微細凹凸技術はこれらの課題を解決します。ガラスにナノレベルの凹凸加工を施すことで、ペン先の滑りを適度に抑え、紙にボールペンで書くような自然な感覚を実現する。さらに、凹凸がナノレベルであるためペン先の摩耗を抑え、ペン先の寿命の向上にも寄与する。

　従来の専用フィルムと比べ、本技術を用いたカバーガラスは品質と耐久性の両面で優位性を発揮する。長期間にわたり安定した書き心地を維持できるだけでなく、ガラス本来の質感や高い透明度・強度を損なうことなく、クリアな視認性を提供する。
　最大加工サイズは510mm×600mmで、ガラスだけでなく金属・セラミックス・樹脂への加工も可能である。

　微細凹凸技術は、書き心地の向上に加えて、次の機能も実現する。
・膜密着性の向上：表面積の拡大とアンカー効果^※3により、金属膜や樹脂膜などとの密着性を高める。
・濡れ性^※4の制御：撥水性を付与することで水滴の付着を抑え、雨天時でもクリアな視界を維持できる。
・光散乱の制御：光の透過・反射・拡散を自在に調整でき、ディスプレイの反射低減や、高い透光性を維持したままプロジェクターから投射された映像を映し出す透明スクリーンなどに応用可能。

　同社は、この多機能性を活かし、タブレットやディスプレイメーカーに加え、教育・産業機器メーカーといった幅広いパートナー企業様との協業を通じ、多様な市場への供給拡大を進めていく。

※3アンカー効果：凹凸の「くぼみ」に塗膜や接着剤が入り込み、物理的に引っ掛かる（錨＝アンカーのように食い込む）ことで剥がれにくくなる現象
※4濡れ性: 液体が表面にどれだけ広がるかを示す性質