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2025/9/5

【ガラス薄膜】日本電気硝子、AI社会を支える次世代メモリ用について「EPCOS 2025」で発表

 日本電気硝子は、東北大学大学院工学研究科と共同で開発を進めている次世代メモリ用ガラス薄膜に関する研究成果を、2025年9月23日~26日に開催される半導体材料に関する国際会議「European Phase-Change and Ovonic Symposium(EPCOS 2025)」にて発表する。
 AIやデータセンター分野では、膨大なデータ処理に対応するために、大容量かつ高速動作する次世代メモリが不可欠。同時に、電力消費の急増を抑制する省エネルギー化も大きな課題となっている。今回の発表は、これらの社会的課題の解決につながる技術として大きな可能性を示すものである。
研究開発の背景
 現代社会では、AIやIoTの普及により膨大なデータが日々生成され、PC、スマートフォンなどのデバイスやデータセンターにおいて処理能力向上と低消費電力化が課題となっており、この課題を解決する「次世代メモリ」への期待が高まっている。
 次世代メモリでは、厚さがnmオーダーの薄膜状の記憶素子層とスイッチ素子層から成るメモリセルを3次元格子状に配置した、高容量化に適した構造がとられる。この構造では、スイッチ素子層がないと電流が誤った経路に流れ、誤作動や性能低下の原因となる。スイッチ素子層は、電流が誤った経路に流れることを防ぎ、必要なセルだけを動作させる重要な役割を果たす。
 日本電気硝子と東北大学は、このスイッチ素子層に適した独自のガラス材料を開発した。今回の発表では、このガラス材料を用いて作製した薄膜が、スイッチ素子層として優れた特性を持つことを報告する。

次世代メモリの位置づけ
次世代メモリにおけるスイッチ素子層の役割

■日本電気硝子が開発を進めるスイッチ素子層用のガラス薄膜
・高い選択性:ONとOFFの抵抗差が大きく、不要な電流を遮断。これにより、大容量メモリの安定動作を可能にする。
・低消費電力化:低電圧でのスイッチング動作が可能で、メモリデバイスの省エネルギー化に貢献する。
・安全・環境配慮:従来材料に含まれていたヒ素を排除し、人や環境に優しい材料設計を実現した。
■イベント・発表概要
・イベント名 :European Phase-Change and Ovonic Symposium(EPCOS 2025)
・開催日程  :2025年9月23日(火) ~ 26日(金) ※フランス現地時間
・会 場   :Aix-Marseille Universite(エクス・マルセイユ大学)
・発表日時  :2025年9月25日(木) 16:45~17:00 ※フランス現地時間
・発表タイトル:High-Selectivity Ge-Te-Based Ovonic Threshold Switching Material for Selectors
・EPCOS 2025公式サイト:https://epcos2025.fr/ 
■国際的評価
 本成果をまとめた論文は、英国Nature Research社が発行する科学誌「Scientific Reports」(オンライン)に2025年7月1日付で掲載された。公開後に1000件以上のアクセスを記録し、世界の研究者から高い関心を集めている。
・論文タイトル:Arsenic-free Ge-Te-based ovonic threshold switching material with reduced leakage current
・URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-01323-5 

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