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2026/2/17

【グリーンイノベーション基金事業】NEDO、新たにSOECの大型化や脱炭素化実証に着手。水電解装置のコスト削減と利用拡大を目指す

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」プロジェクトで追加公募を行い、固体酸化物形水電解装置(SOEC)による大型化・モジュール化技術の開発、新部材の装置への実装技術開発、ならびに熱需要や産業プロセスなどの脱炭素化実証を行う研究テーマを、新たに1件採択した。 2032年までにSOECの設備コストを6.8万円/kWよりも下げることを目指した技術の実現と、併設される工場や発電所などの熱供給側の設備の利用も含めて最適化した効率的なシステム運用方法の確立を目指す。

グリーンイノベーション基金事業について

 日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げた。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業分野の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど現行の取り組みを大きく加速させる必要がある。このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで最長10年間継続して支援するグリーンイノベーション(GI)基金事業を立ち上げた。
 GI基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野または「GX実現に向けた基本方針※2」に基づく今後の道行きが示されている主要分野を支援対象としている。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされた。
 なお、NEDOはGI基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト」を公開している。

概要

 同プロジェクトでは、水電解装置を用いた水素製造コストを削減し、製造された水素を有効活用して目指すべき社会実装モデルを構築する観点から、これまでアルカリ型、PEM型の水電解方式について大型化、低コスト化などの技術開発を行ってきたが、新たにSOEC※3について、次の3つの研究開発内容に取り組む。
■研究開発項目1 水電解装置の大型化技術等の開発、Power-to-X※4大規模実証
(1)水電解装置の大型化・モジュール化技術開発
(2)優れた新部素材の装置への実装技術開発
(3)熱需要や産業プロセス等の脱炭素化実証

採択テーマ

 このたび採択した1件の研究テーマでは、SOECの大型化技術開発により設備の低コスト化技術の実現と、LNG火力発電所での実証を念頭に、排熱のあるプラントとSOECを組み合わせた大規模な脱炭素化実証を目指す。
 事業名:グリーンイノベーション基金事業/再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造
 採択テーマ:排熱を利用した高効率水素製造技術の開発・技術実証
 予算:約350億円※5(NEDO支援規模)
 期間:2025年度~2032年度(予定)
 ただし、研究開発段階と大規模実証段階との間にステージゲート審査を設定し、研究開発段階の進捗を見て、大規模実証段階への継続可否を判断する。そのため、原則として当初に契約および交付決定する期間は直近のステージゲート審査実施時期(研究開発段階)までとする。
 採択テーマの詳細と実施予定先は以下の通り。
 採択テーマ:排熱を利用した高効率水素製造技術の開発・技術実証
 事業の目的・概要:
  1.余剰再エネ等を活用した国内水素製造基盤を確立するとともに、先行する海外市場を獲得するために、固体酸化物形水電
解装置(SOEC)の設備コストを2032年までに6.8万円/kWよりも下げることを目指す。
  2.そのため、既存事業*等の知見を活用しつつ、 高効率/長寿命/高品質な水電解装置の大型化・モジュール化等に係る技術
開発に加え、排熱源に合わせてSOECを最適運用するシステムの技術開発を行う。 *水素社会構築技術開発事業 等
  3.その後、開発した水電解モジュールを連結させた大型水電解装置(数十MW規模)を、併設される工場や発電所等の熱供
給側の設備の利用も含めて運用方法を最適化し、需要とも連携した最も効率的なシステム運用方法を確立する。
 提案者:株式会社デンソー、株式会社JERA
 事業期間:2025年度~2032年度(8年間)
 事業規模等:
  事業規模約460億円
  支援規模約350億円(インセンティブ額を含む)
  最初のステージゲートまでの3年程度の期間の上限は約81億円。今後ステージゲート等で事業進捗等に合わせ合理化見込み
補助率等:2/3 → 1/2(インセンティブ率は10%)
※1 グリーン成長戦略
 日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環に繋げるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。
※2 GX実現に向けた基本方針
 ロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の三つを同時に実現するべく、2023年12月22日、経済産業省が関係省庁と連携して、「GX実現に向けた基本方針」を取りまとめた。
※3 SOEC
 固体酸化物形電解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell)を用いた水電解であり、水の電気分解により放出される熱を再利用することができ、かつ、外部の熱も利用できるため、エネルギー利用効率が高いという特徴がある。
※4 Power-to-X
 再生可能エネルギー由来の電力(Power)で水を電気分解し、製造された水素を化石燃料や原料など(X)の代替のために活用する技術(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画 令和7年10月2日)。
※5 約350億円
 最初のステージゲート審査までの3年程度の期間の上限は約81億円。

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