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2024/3/1
【グリーン水素】AGCと産総研グループ、高圧水電解基礎評価試験の共同研究開始
AGCと産総研グループ(産業技術総合研究所およびAIST Solutions)は、2024年4月より高圧環境におけるPEM*1型水電解技術の特性解明を目的とした共同研究を開始する。高圧環境下で製造した水素は含有水分量が少なくなり、乾燥設備の小型化や昇圧設備の削減など投資コストの低下につながるため、同研究はカーボンニュートラル実現に向けた、水素普及への貢献が期待される。
PEM型水電解は、太陽光発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの活用に適した技術で、グリーン水素*2製造に必要な技術として注目されている。グリーン水素の製造・供給は世界各国で計画されており、燃料電池車など社会インフラにおけるグリーン水素利用の拡大には、水素製造コストの低減が課題。その解決方法の1つが高圧で水素を製造する水電解技術で、欧米では高圧環境下(3~5MPa)での水電解装置運転が主流となっている。一方、日本では高圧ガス保安法による高い安全基準が定められていることなどから、結果として1MPa以上の高圧で水素製造装置の性能を評価できる公的な設備がないことが課題となっている。
この共同研究は、産総研福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に実験評価設備を新設し、2024年4月から実験を実施する予定で、高圧環境下で水素を製造するための知見を蓄えるべく、両者協力のもと研究を進めていく。AGCは、今回実験に用いる水素製造用フッ素系イオン交換膜 FORBLUETM Sシリーズをはじめとした電解膜に関する事業に1975年から取り組んでおり、これまで蓄積した幅広い知見を活用し、高圧環境下での基礎的な膜材料特性の把握と、高圧水電解用膜設計技術の確立を目指す。産総研はこれまでにFREAで開発してきた水電解に関連する基礎技術や評価技術を基に、高圧水電解における膜材料評価技術の確立を目指す*3。
AGCと産総研グループは、グリーン水素を利用したクリーンエネルギーの普及により、サステナブルな社会実現を目指し、本共同研究を進める。
*1 Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜
*2 再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して製造する水素
*3 産総研では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション(GI)基金事業で実施している水電解性能評価技術の確立に関する事業や関連するこれまでの研究で培った水電解に関する知見を有している。本共同研究はこれらの知見をベースに実施するすが、GI基金事業では市場で手に入る材料や装置などを用いて共通基盤となる評価方法を開発するのに対し、本共同研究ではAGCが新規に開発する競争領域の膜材料を試験・評価するもの。これらは開発フェーズが異なっており、かつ、GI基金事業で構築するものとは別の設備を使用して実施する。GI基金事業における開発テーマは次の通り。「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト/水電解装置の性能評価技術の確立/再生可能エネルギーシステム環境下での水電解評価技術基盤構築」(2021年8月~2026年3月)
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