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2024/12/23

【グリーン水素製造用水電解システム】旭化成、経済産業省GXサプライチェーン構築支援事業に採択

 旭化成は、水素関連事業を含むグリーントランスフォーメーション(GX)分野において経済産業省が公募したGXサプライチェーン構築支援事業※1に対し、「GW(ギガワット)級の供給体制構築に向けた電解システムの生産能力増強」プロジェクトを提案し、2024年12月18日に採択が決定した。同社は、グリーン水素製造用水電解装置の国内製造サプライチェーンを、今後見込まれる市場拡大を見越して構築・拡大し、グローバルな水電解需要に対応することで、GX実現に貢献していく。

背景
 2030年の世界の年間水電解槽導入容量は約31GWに達することが推定されており※2、化石燃料に替わるクリーンエネルギーとして、水電解によって製造されるグリーン水素に対する期待が高まっている。足元の市場拡大は、再生可能エネルギーの価格の高さや各国の支援策の遅れなどにより、従来の予想より遅れることが見込まれているが、そのような状況の中でも同社は、グローバルな競争力を確保するため、水電解装置市場の急拡大に向けた野心的な取り組みとして、生産能力の増強を行う。

経済産業省GXサプライチェーン構築支援事業と本プロジェクトについて
 本事業は、温室効果ガス排出削減と経済成長を共に実現するGXに貢献でき、民間のみでは投資判断の困難な、GX分野の国内製造サプライチェーンの、世界に先駆けた構築を支援する事業。
 本事業による支援の下、旭化成川崎製造所において、電解用枠および電解用膜につき、それぞれ2GW以上の年間生産能力を持つ製造設備の新規構築を目指す。本プロジェクトにおける同社の設備投資額は総額350億円規模となり、本事業を通じて最大114億円の助成を受ける予定。
 同生産設備は、グリーン水素製造用製品とともに、旭化成のイオン交換膜法食塩電解プロセス※3用の電解用枠および電解用膜も併産できる生産体制とし、2028年度に稼働を開始する計画。これにより、同社が既に有する食塩電解プロセス向け設備の生産能力と合わせて、少なくとも年間3GWに対応可能な製造能力を達成する。

アルカリ水電解装置の全体像

 旭化成 上席執行役員 グリーンソリューションプロジェクト長の竹中 克氏は次のようにコメントしている。
 「水素社会の立ち上がり時期が不透明な中、市場拡大の機をとらえ、水電解装置市場でシェアを獲得していくには、生産体制の早期構築・拡大が必要です。新たな水素エコシステムの形成によって生じる巨大市場を見据え、2030年に向けた市場拡大に伴い、さらなる設備投資や、海外を含めた既存事業で築き上げたパートナーとのアライアンスにより、世界最大レベルの水電解装置製造能力および供給体制の構築を目指します。これらの取り組みを通じて、2030年頃には欧米・アジアを中心とした世界の主要な水電解装置市場で20%のシェアを獲得し、国内外のグリーン水素供給基盤と我が国の水素分野での産業競争力の強化に貢献していきます」
 旭化成 執行役員[環境ソリューション事業担当補佐(交換膜事業、膜・水処理事業、グリーンソリューションプロジェクト事業開発担当)]の竹田健二氏は次のようにコメントしている。
 「水素市場の拡大には、安価な再生可能エネルギーの確保、水素利用者の拡大、そして市場創出を支える政府の継続的な支援などが揃うことが必要であり、世界で実際に安定稼働しているプロジェクトはまだわずかで、グリーン水素製造用水電解装置の市場拡大時期を予測するのは容易ではありません。GX推進を図る経済産業省と最大限に連携し、水電解分野でのリーディングサプライヤーとなるべく、本プロジェクトを鋭意推進してまいります。本プロジェクトを通じて、今後拡大が見込まれる水電解装置市場への対応と、世界中の顧客から高い信頼を得てマーケットシェアを獲得している食塩電解事業での需要拡大の双方に対応できる体制とし、2つの電解事業でシナジーを創出し、競争力をさらに強化していきます」
※1 GXサプライチェーン構築支援事業HP
※2 出典:Bloomberg NEF
※3 イオン交換膜法食塩電解プロセス:食塩水を電気分解することで、塩素、苛性ソーダ、水素を生産する工業プロセス
水素関連事業ウェブサイト
食塩電解事業関連ウェブサイト

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