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2025/6/28
【ケミカルルーピング燃焼】大阪ガスとJFEエンジニアリング、NEDO助成で電力・水素・CO2同時製造技術に係る実証試験開始
大阪ガスは、カーボンニュートラル(CN)化に貢献するケミカルルーピング燃焼技術開発について、JFEエンジニアリングと共に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」の助成事業※1に採択された。
同事業は、ケミカルルーピング燃焼技術を用いてバイオマスや有機廃液などから電力・水素・二酸化炭素(CO2)を同時に製造するプロセスの実証試験に、JFEエンジニアリングと共同で取り組むもの。なお、バイオマスに代表される固体燃料を直接反応器に投入し、電力・水素・CO2を同時に製造するプロセスの実証試験は世界初の取り組みとなる。
ケミカルルーピング燃焼技術は、バイオマスなどの燃料を、空気中の酸素を用いずに、酸化鉄などの金属酸化物中の酸素を使って燃焼させる技術であり、燃焼排ガス中に空気由来の窒素や窒素酸化物が混入しないため、容易に高純度のCO2を分離・回収できる特徴を有す。また、燃料との反応により一部の酸素を失った金属酸化物は、空気と反応して発電用蒸気に利用できる高温熱と、水と反応して水素を生成することが可能。この工程で、金属酸化物は燃料との反応前の状態に戻って再び一連の反応を繰り返せるようになる。このように循環利用可能な特徴を持つことから、ケミカルルーピング燃焼と呼ばれている。
同技術を活用することで、燃料にカーボンニュートラルなバイオマス燃料を用いた場合は、グリーンな電力と水素に加え、バイオマス由来のCO2を同時に製造することが可能となる。また燃料に有機廃液を用いた場合には、廃棄物をリサイクルして電力・水素・CO2を製造することが可能となり、廃棄物の有効利用に繋がる。
大阪ガスは2020年度からNEDOの委託事業※2の中で、カーボンフロンティア機構と共に、反応に用いる金属酸化物の選定やコールドモデル試験装置※3を用いた流動性確認などの要素技術開発を進めてきた。また、それらを用いたケミカルルーピング燃焼プロセスの原理確認および300kW※4級の装置の基本設計などの成果を得た。助成事業では、2027年度までに300kW級実証機を大阪ガス酉島事業所内(大阪市此花区)に建設し、バイオマスや有機廃液などを用いた実証試験に取り組む予定。
実証試験において、大阪ガスは主に実証機の建設にむけた工事管理・試運転を担当し、JFEエンジニアリングは主に実証機の建設に向けた設計・品質管理を担当する。また、共同で進める実証機の運転で得られた成果を踏まえ、さらなるスケールアップ機の検討に取り組んでいく。
Daigasグループは、今回の事業の成果をもとに、バイオマスや有機廃液から電力・水素・CO2を製造するプラントの商用化を目指す。同プラントで製造する電力・水素・CO2は、カーボンニュートラルまたはサーキュラーエコノミー※5を志向する顧客へ供給することを想定している。
Daigasグループは、2025年2月に発表した「エネルギートランジション2050」のもと、カーボンニュートラル社会に貢献する技術・サービスの開発に取り組み、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努め、暮らしとビジネスの“さらなる進化”に役立つ企業グループを目指す。
※1 NEDO公募事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」
※2 NEDO公募事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」 https://www.nedo.go.jp/koubo/EV3_100219.html
※3 操作条件と酸化鉄の粒子循環流動性の相関確認を目的に、大阪ガスの研究施設(大阪市此花区)に建設(撤去済み)
※4 単位時間当たりの供給燃料熱量(高位発熱量基準)を表す
※5 資源を効率的に利用し、廃棄物の発生を最小限化することで環境負荷を低減する経済システムを意味する
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