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2025/8/21
【コロナ放電式イオナイザ】島津製作所、「STABLO-AP-Ar」発売。電池材料研究における閉鎖空間での静電気除去を安価・手軽に
島津製作所は8月21日に世界初となるアルゴンガス環境で除電(静電気の除去)できるコロナ放電式イオナイザ「STABLO-AP-Ar」を発売した。現行モデルの大気環境用イオナイザ「STABLO-AP」に、独自開発の放電制御プログラムを組み込み、コロナ放電式のイオナイザ(除電機)では不可能だったアルゴンガス環境での除電を実現した。この製品は同社製の分析天びん「AP-ADシリーズ」「APシリーズ」に内蔵もしくは単体(専用スタンドで立てた状態)という2種類の利用が可能。


グリーントランスフォーメーションおよびカーボンニュートラルを目的とした電池・半導体・フィルムトナーなどの新規材料およびその原料は活性が高く、水分劣化や窒化、酸化などが起きやすい大気環境での取り扱いは困難である。そのため、不活性ガス(アルゴンガス)が充満した精密グローブボックス(酸素、水分濃度1ppm以下)内で研究が行われる。サンプルの静電気除去を行う場合、アルゴンガス環境下では従来のイオナイザは帯電や火花放電の危険性があるため使用できなかった。アルゴンガス環境用イオナイザとして軟X線・真空紫外線などの放射線式があるが、作業者の被ばく、紫外線によるサンプルの劣化、高額な装置価格やランニングコストという課題があった。
「STABLO-AP-Ar」は、放電の量やタイミングを緻密に制御できる独自のプログラムを組み込んだ、世界で初めてとなるアルゴンガス環境で除電効果のあるコロナ放電式イオナイザ。
「STABLO-AP-Ar」の特長は次の通り。
1. コロナ放電式で世界初となるアルゴンガス環境の静電気除去
コロナ放電式イオナイザでアルゴンガス環境下での除電を実現。作業者の被ばく、サンプルの劣化などの恐れがある放射線式より、安全性や使い易さが優れている。
2.単体・天びん取り付けの2形態での使用可能
グローブボックス内で専用スタンドに立てての使用や、同社の分析天びんに内蔵させての使用が可能。分析天びん「AP-ADシリーズ、APシリーズ」とセットでの購入も可能。
3.装置価格・ラニングコストで経済的
アルゴンガス環境で使用されている放射線式イオナイザは「STABLO-AP-Ar」と比べて価格が3~4倍であり、放電針やランプといった高価な消耗品を高頻度で交換する必要がある。この製品は装置価格、ランニングコストの両面で経済的。
希望販売価格は16万5000円(税込み)、販売目標は発売後1年間で110台(国内外)。
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