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2025/2/20

【サービスエクセレンス】日本精工と東京大学、共同研究契約締結

 日本精工(NSK)と東京大学は、2024年12月に「サービスエクセレンス*1」の共同研究契約を締結した。
 同活動は、NSKの品質保証本部と東京大学の大学院工学系研究科(原辰徳准教授)および東京大学 総括プロジェクト機構 「QualityとHealthを基盤におくサービスエクセレンス社会システム工学」総括寄付講座(水流聡子特任教授)による共同研究であり、品質面からのビジネス競争力強化のために、サプライヤーの立場を生かしたサービスエクセレンスの実装方法論およびエクセレントサービスの設計方法論開発を目指す。
*1 「サービスエクセレンス」:エクセレントサービスを一貫して提供するための組織の能力と定義されている。

サービスエクセレンスについて
 日本の企業が激しい国際競争を勝ち抜くには、顧客満足(ISO9000)では不十分であり、顧客に“非常に大切にされている”、“自身の期待を超えている”と、感じていただくことが必要となっている。こうした感情は「カスタマーデライト」と呼ばれ、これを実現する優れたサービスは「エクセレントサービス」と呼ばれる。これらを一貫して提供するための、組織能力(サービスエクセレンス)の原則およびモデルと、その設計方法に関するISOとJISが制定されている。
(サービスエクセレンス-原則およびモデル ISO 23592<JIS Y 23592 : 2021>、サービスエクセレンス-卓越した顧客体験を実現するためのエクセレントサービスの設計 ISO/TS 24082<JIS Y 24082 : 2021>)

NSKがサービスエクセレンスを導入する狙い
 いまやサービスは製造業においても欠かせない。グローバル化が進み、サービスの受け手が世界中に広がった今、サービス発信側の思いを伝える「おもてなし」という属人的で伝承的な考え方だけでなく、「サービスエクセレンス」という、受け取り側の体験(顧客体験)まで捉えた、組織的で体系的な取り組みを実装することは、市場での成功、ひいては組織の持続的発展につながると考えている。
 既述の2つの規格は、ISO9001を基盤としてエクセレントサービスを提供できるようにモデルとして活用することで、組織能力を強化させ、企業変革に向けてマインドセットを変化させ、組織の未来を創る規格と言われている。NSKとしては将来、この認証取得が受注条件に加わる可能性も視野に入れ、現段階から関わりを持っておくことが重要と考え、今回の共同研究契約の締結に至った。

NSKが目指すモノづくり~モノ売りからコト売りへ進化するために~
 NSKは、同社の祖業であるベアリングとそれを超えた事業展開(「Bearing & Beyond」)で収益を伴う成長を実現することを目指している。ベアリングは、品質と言う武器を実装して、顧客の商品に組み込まれることで、顧客に価値を与えていくもの。その特性上、顧客に寄り添い、一緒に問題を解決し、より良いサービスやソリューションを提案し続けることが使命と考えている。
 今後は、開発段階からの共創とアフターサービスを通じた伴走を通じて、顧客のペインポイントを正確に理解した上で、個々の顧客に的確なソリューションを提案し、サービスを超えたエクセレントサービスの提供およびカスタマーデライトの実現を目指していく。
 このNSKが目指すモノづくりをこれから100年先も脈々と続けていくために、同社の文化として定着させる必要があると判断し、サービスエクセレンスという仕組みの導入を決めた。

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