アーカイブ情報

2026/1/14

【スポーツ医療】CoreTissue BioEngineeringとマイクロ波化学、革新的な膝前十字靱帯再建用「組織再生型靱帯」の大量生産に向けた装置開発を開始

 CoreTissue BioEngineering(CTBE)とマイクロ波化学は、膝前十字靱帯再建手術向けの「組織再生型靱帯」の実用化に向け、マイクロ波を用いた独自の脱細胞化技術を適用した量産装置の開発を開始した。マイクロ波化学が装置をCTBEへ納入した後は、CTBEが本装置を用いて商用機開発に必要な技術課題の洗い出しと大量生産条件の検証を進め、2028年には開発製品の商用生産に向けた実装を目指す。

背景
 膝前十字靱帯損傷はスポーツ現場で多く発生し、選手生命にも影響しうる重篤な整形外科疾患。日本における膝前十字靱帯損傷の再建手術は年間約1万9千件、米国では約17万5千件行われている。現在は、患者自身の別部位の腱を採取して再建術を行う自家腱移植が一般的だが、健常な腱を取り出すことによる身体的負荷や、再断裂時には腱が不足する等が課題となっている。 その解決方法として、ウシやブタ等の組織を自家腱の代わりとする方法が考えられるが、ヒトに移植した場合の免疫反応や炎症反応を引き起こす可能性のある細胞等を除去する技術(脱細胞化技術)が必要となる。従来の脱細胞化技術では、適用できる組織は数100μm以下の薄膜に限られる上、細胞を溶かす薬液等によりコラーゲン構造が損なわれるなど、靭帯の再建に使用するための十分な強度と厚みを得ることが困難であった。

概要
 CTBEは、その課題に対してウシの腱にマイクロ波を照射し、水分子を振動させることで細胞膜の溶解液を厚い組織の奥まで浸透できることに着目。CTBEが開発したこの技術は、世界で初めて組織を破壊することなく細胞成分のみを除去し、ヒトの腱と同等の強度と、再建靱帯としての厚みを実現した。同技術を用いた組織再生型靱帯は2024年12月に企業治験※1として初めて患者の治療に使用され、現在は安全性を評価する臨床試験を実施している。
 今回、本開発品の大量生産技術を確立するにあたり、マイクロ波装置のスケールアップに強みを持つマイクロ波化学と連携し、量産条件の最適化に向けた検証装置を製作する。装置が完成・納入後は、CTBEは同装置を用いて開発品を安定的に複数製造できるかを検証する。

今後の展開
 CTBEは、米国でのビジネス展開を狙って治験準備を進めるとともに、商用化に向けて大量生産技術を確立し、2028年には開発製品の商用生産に向けた実装を目指す。さらに、膝以外の靭帯の損傷や肩腱板再建への応用も視野に、スポーツ医療の世界で革新を起こしていく。
 マイクロ波化学は、今回の装置製作を通じて医療分野への知見を蓄積することで、保有するマイクロ波化学技術プラットフォームを拡張し、今後適用できる幅を広げていく。
※1 医薬品、医療機器開発企業等が医療機関/医師に依頼をして実施され、新しい医薬品・医療機器等について安全性および有効性を検証し、厚生労働省から承認を得ることを目的として行う試験
■CoreTissue BioEngineeringについて
 2016年に早稲田大学からスピンアウトした医療機器スタートアップ。アスリートをはじめとする人々の運動機能の最適化と、よりアクティブな人生の実現に貢献するため、膝前十字靭帯再建術向けの革新的な組織再生型靭帯などの開発・実用化を世界に先駆けて進めている。

カテゴリー
コンバーティングニュース

PAGE TOP