アーカイブ情報

2024/4/24

【スマートベンチ】フクビ化学工業・長瀬産業・キャプテックス、リサイクル樹脂やリユース車載バッテリーを使用した環境配慮型スマートベンチを共同開発

 フクビ化学工業と、NAGASEグループの長瀬産業キャプテックスは、リサイクル樹脂、リユース電池を使用した環境配慮型のスマートベンチ(※1)を共同開発し、実証実験を2024年3月より開始した。なお、リサイクル樹脂およびリユース車載バッテリーを活用したスマートベンチの開発は、業界でも先進的な事例となる。実証機は静岡県裾野市に設置され、利便性・安全性等の実証を経て2025年度の実用化を目指す。

 スマートベンチの設計および自治体を中心とした同製品の拡販は、建材メーカーで最適な素材や材料を設計する強みを持つフクビ化学工業が担う。スマートベンチに搭載されるリユース電池の開発、リユース電池に太陽光発電や使用する電子機器を含めたシステム化は、化学業界を中心とした幅広いネットワークを有する長瀬産業と、蓄電関連の技術・開発・製造に強みを持つキャプテックスが担う。3社は、都市での利便性および安全性向上を通じて、スマートシティおよびカーボンニュートラルの実現に向けて継続的な協力体制を構築していく。

 同実証機は、ベンチの座面・背もたれ部分に使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした再生木材(※2)を使用しており、また使用済みの自動車から取り外したリチウムイオン電池をリユースした(※3)環境配慮型のスマートベンチ。公共の設備および電源としての機能に加え、リサイクル・リユースをコンセプトとしたことでカーボンニュートラルへの貢献も期待される。

■スマートベンチとは
※1 : 現在、全国各地で進むスマートシティ化の取り組みでは、デジタル技術の活用による都市の課題解決と、公共スペースで市民が利便性を享受できる環境の整備が求められている。スマートシティ化に向けた取り組みの1つとして、従来のベンチに太陽光パネルを搭載し、充電やインターネットへの接続など多機能を備える「スマートベンチ」の設置が注目されている。設置時に大がかりな電気工事を必要とせず、照明や電子機器等の使用や充電、また災害時には非常電源としての機能を果たすことから、国内でも需要が高まっている。
※2. リサイクル材を活用したベンチ
 座面・背もたれ部には、フクビ化学工業の再生木材「プラスッド」を使用。プラスッドは、使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした原料と持続可能な森林由来の国産間伐材を使用し、屋外で長期間使用しても劣化や変色が少ない耐久性を実現している。
 ベンチの構造は、2021 年 10 月に販売を開始した屋外家具「Fandaline(ファンダライン)」で適用したものをベースに、今回のスマートベンチ向けに改良しました。ベンチの下部に蓄電池を収納する筐体を納めるためのスペースを確保し、支持脚は屋根を支える柱に固定できる構造に改良することで、スマートベンチで必要な部材・部品を合理的に納める設計となっている。
 また、デジタルサイネージのモニターカバーは、特殊なコーティングを施したフクビ化学工業の「ハーツラス AR」とすることで、映り込みが少なく、デジタルサイネージの情報が見えやすい。
※3. リチウムイオン電池をリユース
 同実証機に搭載されているリチウムイオン電池は、スズキが生産する四輪車に搭載されている「エネチャージ/S-エネチャージシステム」に使用された電池のリユース品。スズキの四輪車から取り外した使用済みリチウムイオン電池をスズキの協力のもと、長瀬産業とキャプテックスがスマートベンチ用にリユースしたもの。環境に配慮したリユース電池の技術および用途の開発に長年取り組んでいる長瀬産業とキャプテックスは、使用済みの自動車から取り外した電池のリユースを通じて、循環型バッテリー社会の実現を目指している。
 今回の実証にあたり、長瀬産業とキャプテックスは、リユース電池を制御する BMS(バッテリーマネジメントシステム)の開発を行った。この BMS は、スマートベンチのサイネージや LED 照明等に使用されるリユース電池を安全に制御するだけでなく、電池容量の冗長性を備え、様々な用途に展開しやすい設計が施されている。またキャプテックスでは、使用済み蓄電池の性能評価を行う機能を持ち、リユースにあたって残存性能・信頼性の検証ができる強みを有しており、安全性の高いリユース電池の提案が可能。
 なお、同実証機の1次電池として活用する太陽光パネルもリユース品を使用している。リユース太陽光パネルをスマートベンチに活用することで、廃棄物削減に貢献する。

カテゴリー
コンバーティングニュース

PAGE TOP