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2024/12/2
【トレーサビリティーシステム】サトーホールディングスとナカダイホールディングス、廃棄物の再生資源過程をデジタル化しデータ蓄積に成功
サトーホールディングスとナカダイホールディングスは2023年より協業し、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けた廃棄物の回収、処理、再生材生産まで一連の工程を可視化するトレーサビリティーシステムの構築と実用化を目指しているが、このたび、廃棄物の手動解体や選別、各処理工程をデジタル化しデータ蓄積とトレースができるシステムを構築した。 2024年8月にナカダイのリサイクル工場で新たな実証実験(PoC)を実施。その結果、この仕組みの有効性と資源循環に求められるデータ取得に成功した。
今後は、このトレーサビリティーシステムを、ナカダイのリサイクル工場において実運用を開始するとともに、他のリサイクラー(再資源化事業者)や製造業のリサイクル工場に対する商用化を見据えてさらなるPoCを推進する。
協業の背景
持続可能な社会を構築するために、使用後の製品を廃棄物とせず資源として循環させることが求められている。昨今、世界的にも注目されるサーキュラーエコノミーの実現に向けては、安定的、定量的なリサイクルに加えて、“国産資源”として再生材を生産していくことが重要にも関わらず、実態は生産工程や品質情報などの可視化(=トレーサビリティー)も進んでおらず、供給と品質両面の不安が企業や社会のサーキュラーエコノミーへのシフトを阻む要因となっている。
PoCの概要:廃棄物回収から再資源化のデータ取得の流れ
2023年にAI活用による廃棄物回収のスマート化のPoCを行い、ナカダイへ廃棄物処理を委託する企業の廃棄物置き場にカメラを設置することで、画像分析AIを活用した集積状況の可視化に成功している。
今回のPoCは、コンテナ設置から出荷に至るまでの工程のデジタル化を目的として実施した。
具体的には、「コンテナ設置」「回収」「入荷」「移動」「リサイクル処理作業/処理結果」「出荷」の過程ごとにデータ取得を行う。回収した廃棄物を保管する容器にIDを付与したラベルを貼り付け、ナカダイのリサイクル工場への入荷・移動・解体・出荷までの各工程をひも付けてデジタル化し記録。廃棄物処理から再生材生産の状況をリアルタイムで把握することができ、各工程の効率改善やトレーサビリティーにも活用が期待できる。
実証実験によりデジタル化した主な内容
・廃棄物を管理するコンテナ単位でID化し、マニフェストや内容物の情報をひも付けた管理の実現
・コンテナ単位での「内容物」「保管場所」「重量」「工程チェック」の管理が可能
・入荷時のコンテナと処理作業から生まれたコンテナ(有価物/廃棄物)をひも付けしトレース情報を記録
・複数のコンテナがひとつの作業工程によって集約される情報を記録
・コンテナIDに対して複数のマニフェスト情報を紐づけし、より細かなマニフェストの処理期限管理を実現
・日別、工程別の処理量などの可視化により、誰がいつどこでどのくらいの処理をしたかデータで可視化
・計算値ではなく、現場から収集した、限りなく実態に近いデータを取得
・入荷、処理実績から出荷実績まで重量ベースで管理が可能
・リサイクル工場内のエリア別、入荷日別の廃棄物の在庫可視化
ナカダイとサトーが想定する未来像
リサイクル処理工程の情報がデジタル化されることによる効果として、再生資源の品質グレード要求に対して必要な情報取得や管理が可能になる。また、廃棄物という不安定な回収であっても回収後の情報が全てデジタル化できることで出荷の安定と品質の担保が実現される。さらには、これらのデータ化によって信頼性のある再生材が販売できるようになる。
また、この仕組みにより、リサイクラーのオペレーションのルール化や処理工程の課題を明確にできるため、廃棄物処理産業を担う企業が再生資源供給産業への移行促進を支援するツールとしての活用を目指す。
サトー本社ショールームで実証実験の概要やシステムを展示
サトーショールームでは、サーキュラーエコノミーをテーマとしたソリューションの展示を開始している。
ナカダイのリサイクル工場で実証実験を行ったシステムや概要を見ることができる。また、ラベルプリンターの回収・再資源化の取り組みや、リサイクルするマテリアルも多数展示している。
デジタル製品パスポートの実装や、製品製造から回収・再資源化までのサーキュラーエコノミーにおいて、「モノと情報をひも付ける」さまざまな仕組みやノウハウを体験することができる。
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