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2024/2/5

【ドライファイバーテクノロジー】セイコーエプソン、繊維再生の新技術開発でHKRITAと協業

ドライファイバーテクノロジーで解繊した繊維を 50%使用したコットンの糸(試作)

 セイコーエプソン(以下、エプソン)は、世界的に高まる再生繊維のニーズに応えるため、独自のドライファイバーテクノロジーを応用し、再生が困難な繊維の解繊技術を確立、繊維再生の社会実装を目指す。そのため、香港を拠点とし、繊維・衣類・ファッション産業に向けて革新的なソリューションを開発しているThe Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel Limited(香港繊維アパレル研究開発センター、CEO Edwin Keh、以下 HKRITA)*と、共同開発に関する契約を2024年1月18日に締結した。
 世界的な環境に対する意識の高まりに基づき、衣類についても、不要となった衣類から再生した繊維を使用する動きが加速している。特に欧州では、再生繊維の使用比率を引き上げ、石油由来となる合成繊維の使用を抑制する動きが進んでいる。
 現在は再生繊維の生産工程において、不要な衣類の生地に対する解繊に反毛機を使用するのが一般的である。しかし、この反毛機では、ワイシャツ、シーツの生地に使われる強撚糸素材や機能性の高い衣類に使用される伸縮性混紡素材について、アパレル市場で一般的に普及している繊維にもかかわらず解繊が困難な状況にある。
 そこでエプソンは、繊維質の素材を解繊することができる独自のドライファイバーテクノロジーを応用した伸縮性混紡素材や強撚糸素材の解繊技術の確立を目指すと共に、HKRITA*と共同開発に関する契約を締結し、その技術や市場知力により、新たな衣類繊維のリサイクルソリューションの提供を目指すことにした。
 このソリューションの実現により、従来は再繊維化が困難だった機能性衣類や、シーツ、ワイシャツなどについても、工場の端材・売れ残った衣料品・不要となった衣類から新たな再生繊維を作り出すことが可能となり、再生繊維の普及加速に大きく貢献することができる。エプソンは早期に技術確立を行い、社会実装を目指す。

*香港繊維アパレル研究開発センター(HKRITA)
 2006年に設立されたHKRITAは、香港特別行政区政府の創新科技署(Innovation and Technology Commission)から資金提供を受け、香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)に設置されている。
 HKRITA は、繊維およびアパレル産業全体の競争力を高め、持続可能な改善を推進して社会に利益をもたらすことを目的に、繊維およびアパレル産業をサポートするための応用研究に取り組んでいる。応用研究、技術移転、商業化のためのワンストップサービスを提供し、産業活用に向けたプロジェクトの成功のため、たゆまぬ努力を重ねている。

https://www.hkrita.com/

エプソンが独自に開発したドライファイバーテクノロジーは、古紙・木材・衣類などの繊維状の廃棄物・使用品から、新たな価値を生み出すことが可能な技術で、今後の環境ビジネス創出のコア技術のひとつと位置付けています。今回の再生繊維に関する生産ソリューションの開発のほかに、使用済みの紙などを原料にして、新たな紙や梱包材の生産を実現しており、さらに強度・耐久性の高い再生プラスチック、バイオプラスチックの開発を行っています。エプソンはこの技術の応用を進めた環境ビジネスに取り組み、世界的な課題である環境負荷低減や資源循環に寄与していきます。

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